■URL
http://www.google.com/apis/index.html
米Googleは11日、「Google Web API」を公開した。これはSOAP1.1およびWSDLに基づいたインターフェイスで、Googleがこれまでに収集した20億ものWebページのデータを自分の好きなようにプログラミングして利用することができる。この試みについては多くの開発者が「新たな革命」「Netscapeのリリース以来の出来事」と賞賛している。
GoogleAPIについては、Google内部の技術者が、とあるメーリングリストにこの計画について書き込みしたために発覚した。その後、開発者たちの間でいつ公開されるのかと大きな期待が寄せられていた。Googleでは、数週間前から一部の外部開発者たちには秘密保持契約を結んだ上で公開し、さまざまなアイディアが実験されていた模様だ。
このGoogleAPIがインターネット全体に及ぼす影響は計り知れないものだ。20億ページのデータを自在にプログラミングできることから、どのようなアイデアが生まれてくるのか現在のところ想像もつかないが、GoogleではそのためにいくつかのアイディアをFAQのなかで示している。
例えば、「定期的に特定のキーワードについて新しいページが登録されていないかを走査、通知してくれるプログラム」、「Webの中にある情報の量に応じて市場にどのような需要があるのかを分析する市場調査プログラム」、「コマンドラインや携帯電話などHTML以外のインターフェイスを通してGoogleを利用するプログラム」、「Webにある情報を使った“おもしろい”ゲーム」などを挙げている。
Googleでは、このGoogleAPIの議論のためにニュースグループを設置。開発者たちがアイディアや意見を交換できるようにしており、自分が開発したプログラムを公開することも歓迎するとしている。こうしたアイディアは後々Googleの新たなビジネス戦略にも用いられるものと思われる。
GoogleAPIを利用するためには、開発者キットをダウンロードしなければならない。これには開発者に必要となるJavaライブラリ、WSDLファイル、その他サンプルコードなどが含まれており700KB弱のファイルである。ダウンロードの後、新たに設けられた「Google Account」に登録することでライセンスキーを取得、それによってGoogleAPIを試すことができる。GoogleAPIがサポートしているプログラミング言語は、Java、Perl、Ruby、Microsoft VisualStudio.NETだが、GoogleではWebサービスをサポートしているプログラミング言語ならうまく動作するのではないかと示唆している。
GoogleAPIは、現在ベータテスト中であるため無料で利用できる。その代わり1日に1,000クエリーという制限が設けられている。これはGoogleのリソースを必要以上に消費しないためであると説明されている。またベータテスト中ということもあり、サービスが突然メンテナンスのために停止されたり、APIに将来的に変更があることも考えられるため、利用はあくまで実験的な用途に限られそうだ。
GoogleがこのAPIを通してどのようにビジネスとして利益を上げようとしてのかは未だ定かではない。Googleでは有料サービスとしてAPIを公開する計画について否定しているが、FAQの中ではこの問いに対して「この時点では考えていない」と将来的な有料化導入に含みを持たせている。また、GoogleAPIを商業的に利用したい開発者に対してはGoogleに知らせるよう求めていることから、少なくとも何らかの有料サービスの導入を検討しているのではないかと推測できる。Googleの広報部長Nate Tyler氏は取材に対して「今すぐにアクセスに対して課金する計画は持っていないが、このプロジェクトが漸進するにつれて利用規約を改変する権利を留保している」とコメントしている。
また、副次的な点ではあるが、今回新たに「Google Account」がGoogleAPIの利用のために公開されたことも興味深い。Google Accountの説明ではこのアカウントが将来的にGoogle Group、Google AdWords、Google StoreなどGoogleが提供するさまざまなサービスにアクセスするためのアカウントになる可能性を示しており、今後どのような利用方法が提示されるのか興味があるところだ。
(2002/4/12)
[Reported by taiga@scientist.com]