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http://www.softbank.co.jp/pdf_ir/0205ren.pdf
ソフトバンク株式会社は10日、平成14年度3月期決算を発表した。連結業績では、売上高が4,053億円(対前年度82億円増)、当期損益が888億円の赤字(対前年度1,254億円減)だった。
今期の売上では、イーコマース事業が2,842億円(前期比257億円)、インターネット・カルチャー事業が320億円(前期比188億円増)と好調だった。一方、Yahoo!BB事業向けのインフラ構築で180億円の赤字など239億円の営業損益を計上した。
同社の財務を担当する笠井和彦取締役によると、有利子負債の圧縮、手元流動性の確保、自己資本の充実など5つの財務戦略を施したという。有利子負債(グロス)の圧縮では、2001年9月時点で4,875億だった負債を、3,656億円まで圧縮した。純有利子負債では、同じく3,393億円だったものを、2,320億円まで圧縮し、さらに5月見込みで2,000億円まで減らすという。一方、手元流動性の確保では、現預金1,135億円を含む1,636億円を確保している。また、イーズ・ミュージック、バーティカル・ネットなど6社を清算し、さらに7社の撤退を検討中など、子会社の整理・統合を推し進めている。
今後の事業戦略では、「ブロードバンドNo.1企業集団」を目指す。「ソフトバンク創業時からやりたかったインフラ事業を手がけることができ、面白くてしかたがない」と孫正義氏は近況を語り、「ビー・ビー・テクノロジー(BBT)の社長業に、通常の社長よりも長い時間働いて、120%集中している」という。同氏は、「ブロードバンドは、50兆円規模の市場となる」と考えており、インフラ、プラットフォーム、コンテンツの三層で「それぞれ、圧倒的なNo.1企業になる」と目標を語った。
孫氏は、ソフトバンクのブロードバンド戦略として、世界初のIPベースのバックボーン網を挙げた。例外的に40局舎程度がATM網でつながっているものの、全国約1,200局舎をダークファイバーによるギガビットイーサで接続したという。BBTのビジネスモデルは、「この徹底的に差別化を図ったバックボーンを活用して、ADSL収入のみならず、BBフォン、Yahoo!BBモバイル、法人向けサービスなどを同一のインフラ上で展開するマルチ・レベニュー構想にあった」と紹介する。例えば、ADSL接続サービスだけでは、1回線あたり月額2~3,000円の収益にしかならないが、法人向けのBBフォンでは1回線あたり月額4~5万円の収益につながるという。
これは、Yahoo!BBサービス開始時点からあった構想で、バックボーン網もこの構想に沿って構築されているという。それゆえ孫氏は、「ATM網を利用している他社ADSL業者では、このような展開はできない。安価なADSL接続サービスが成り立つのかと各方面から危惧され続けたが、今までビジネスモデルを公表しなかった理由は、他社を少しでも長く油断させたかったから」と語った。将来的には、オフィスや集合住宅への光ファイバー接続を推進するという。
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(2002/5/10)
[Reported by okada-d@impress.co.jp]