【業界動向】

マイクロソフト、18社共同で「ブロードバンドスクール」コンソーシアム設立
岡山公立小学校で実証授業を展開

■URL
http://broadbandschool.jp/

マイクロソフトの阿多親市代表取締役
 マイクロソフト株式会社は、公立学校でのコンピュータ利用・高速回線利用の促進を支援する「『ブロードバンドスクール』コンソーシアム」の設立を発表した。すでに岡山市の公立小学校2校で実証授業を展開している。

 「ブロードバンドスクール」とは、マイクロソフトが提唱する学校のコンピュータ利用に関するコンセプト「Anytime,Anywhere Learning」(学校内のどこからでも、児童・生徒がインターネットに接続し、情報の収集・加工・発信ができる環境)に加え、ブロードバンド回線の有効利用、さらに既存コンピュータの活用が実現した教育環境を示す言葉だ。簡単に言えば、「光ファイバー、ADSLなどの高速常時接続環境下で、PCを“道具”として授業に活用できる状態」だという。

 マイクロソフトでは、「ブロードバンドスクール」を実現するには、
  ・ノートPCや無線LANなどを用い、あらゆる教室や教科でPCを利用できる環境
  ・ウィルスや不法侵入に配慮したセキュリティ対策
  ・教師自身のIT指導力向上

 が必要になるとし、同スクールの構想紹介と啓蒙活動を行なうため、ハードメーカーやコンテンツプロバイダーなど18社と共同でコンソーシアムを設立。ブロードバンドスクールの普及のための活動や、ブロードバンドを利用した指導案やコンテンツなどの研究開発などを展開していく。

 コンソーシアムの活動としては、すでに岡山市の公立小学校2校による「ブロードバンドスクール」実証授業が開始されている。実証授業では、ノートPCを生徒用に40台(1校に付き・以下同)、教員用に11台、サーバーを2台、また無線LAN機器などを導入し、通常授業(「総合的な学習の時間」ではない授業)で、PCを活用した授業を行なっている。PCを収納するための特製カートを利用して、PCの教室間移動を容易にし、複数クラスでの共同学習を実現したほか、無線LANの導入で、教室内の配線工事を不要とした点が特徴だ。また教員に対してもPC研修会を開催する、市民によるITボランティアの支援を受けるといった方法で、教員がPCを使った授業を円滑に進めるためのサポートを行なっていく。また既存のPCをPC専用室から図書館に移動し、紙媒体と電子媒体の両方を児童が利用しながら、生徒が考える力をつけることを目指すという。
 また5月20日にWebサイトを開設、サイトから岡山での実証授業の模様をレポートするほか、ブロードバンドスクールの構築事例、必要な機器などの情報提供、関連したテーマのコミュニティ運営などを行ない、コンソーシアム活動のポータルとして機能させる方向だ。

 今回のコンソーシアム設立には、2001年10月の米Mircosoft会長・Bill Gates氏の来日が発端となっている。来日時にGates氏は竹中経済担当相ら政府要人と会見し、その際「e-Japan計画を教育・学習、および人材の育成面でサポートしたい」と表明していた。そこから、“2005年までに概ねすべての公立学校がブロードバンド接続できる”などの「e-Japan重点計画2002」の施策をサポートするために今回のブロードバンドスクール構想が形作られていったという。
 構想が固まったのは今年1月で、そこから岡山市の2小学校での実証授業展開が決まった形だが、「岡山は“情報水道構想”でブロードバンド化を進めていて、小学校の9割以上がすでにブロードバンド化していたため、インフラが整っていた点が非常に大きかった」(マイクロソフト・眞柄泰利取締役)という背景がある。現在は岡山での実証授業のみだが、自治体からのアプローチには今後随時対応していく方向だ。

岡山での実証モデル図 Bill Gates会長はビデオメッセージで登場 岡山市・萩原市長はビデオチャットで会見に参加した

(2002/5/20)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]

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