IPv6普及・高度化推進協議会は22日、無線LAN搭載の成田エクスプレスを報道陣向けに公開した。成田エクスプレスはJR東日本が運用する成田空港と都心を結ぶ特急列車で、FIFAワールドカップに合わせ5月27日から7月31日までの予定で、この特急を使った実証実験が行なわれる。
今回の実験は、IPv6普及・高度化推進協議会が主体となり、成田エクスプレスを運用するJR東日本、車内とインターネットの接続を提供するNTTドコモのほか、新東京国際空港公団なども参加している。公共交通機関や時速100km以上の高速移動体へのブロードバンドサービス提供の運用方法や、IPv6とIPv4のデュアルスタックサービス環境の模索が目的となる。
実験期間中は、成田エクスプレスのグリーン車で無線LAN(IEEE802.11b)によるインターネット接続環境が提供される。車内とインターネットはNTTドコモのFOMAを用いて最大384Kbpsで接続し、無線LANのアクセスポイントを経由してユーザーが接続する形になる。車内にはWebサーバーも用意されており、駅の案内や秋葉原に関するコンテンツを利用できる。車内のIPv6環境は、デュアルスタックとなっている。
さらに、成田空港では無線LANによる接続実験「e-エアポート」が、東京駅では日本テレコムによる「無線による、駅でのインターネット接続実験」が提供されているため、これら3つの無線LAN接続サービスの利用で、空港から駅まで“シームレスな接続”を提供するとしている。今回の実験では、この“シームレスな接続”から生まれるビジネスモデルも模索するという。
成田エクスプレス公開にあたり、東京駅~成田エクスプレス~成田空港で無線LANを実際に利用してみた。東京駅では、成田エクスプレスのグリーン車が停車する地下ホームの中央付近がエリアとなっている。しかし、ホームに設置されているベンチでは電波が届かないため、成田エクスプレスを待っている間に接続するといった事には向かないようだ。次に成田エクスプレス車内だが、東京駅と成田空港付近は地下を走っているためインターネットへの接続ができなかった。しかし、それ以外はほとんどトンネルがないため、あまり不自由はしなかった。走行速度や場所によっては遅くなる場面もあったが、Web閲覧においてはISDN程度とほぼ同じとなり、ストレスは感じられなかった。最後に成田空港では、スループットは4~5Mbps程度となり快適に利用できた。
成田エクスプレスと成田空港では、登録がいらないため暗号化キーなどの入力は必要なかったが、東京駅での利用には登録が必要となる。現在、一時利用登録については東京駅でしか受け付けていないため、成田空港から東京駅に向かう人は“シームレスな接続”とはいかない場合もある。
成田エクスプレス車内に設置された機器。FOMAカード、無線LANのアクセスポイント、Webサーバーがコンパクトに収められている。 | 成田エクスプレス車内でインターネットに接続してみた。しかし、揺れが多い在来線では長時間パソコンの画面を眺めることができない。 | 成田空港に設置されている「Internet Kiosk」。10分間100円でインターネット接続が利用できる。 |
成田空港の「Yahoo!Cafe」。外国人の利用が多いため、近日中に英語版のWindowsを採用する予定だという。 | 東京駅や成田空港においてある実証実験のパンフレット。日本語、英語、韓国語で接続方法が書かれている。 |
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(2002/5/23)
[Reported by adachi@impress.co.jp]