【サービス】

ランドクルーザーでどこでも衛星インターネット
テレマン・コミュニケーションズがIP中継車両を開発

■URL
http://www.telemann.co.jp/

シャーシのフレーム構造が強固であること、山道でも問題なく走行できること、車両メーカーのサポート拠点が多いこと──の3点がランドクルーザーを採用した理由だという

 テレマン・コミュニケーションズは、衛星インターネットの接続システムを搭載した車両を開発し、イベント中継などに向けてレンタルサービスを開始した。衛星回線部分の最大伝送速度は上り/下りともに最大1.5Mbps。東京都内23区および近郊の場合で、運用オペレーター2名を含む1日のレンタル料が35万円、通信料が1時間4万円となっている。

 開発したのは、トヨタの四輪駆動車「ランドクルーザー100」をベースとした車両で、ルーフキャリアにテレマンの衛星通信システム「IPCast」のアンテナが取り付けられているのが大きな特徴だ。車内にはIPCastのターミナルユニット、車載サーバー、自家発電装置などを搭載しており、現地で映像をエンコードしてインターネットまで送信できる。駐車してから1時間以内に映像配信の準備が整い、約12時間にわたる稼働が可能になるという。有線回線のない地域での利用はもちろん、都市部でもイベント中継など一時的な利用では、有線回線よりも手軽に短時間でネットワークを構築できるメリットがあるとしている。

 通信衛星を利用した中継車両はテレビ局などで利用されているが、IPCastの場合は帯域が小さくても同等の品質で映像が送れるため、コストは放送用の衛星回線に比べて半額程度に抑えることができるという。また、双方向通信に対応しているため、IP電話やテレビ会議などのアプリケーションも運用可能だ。地方のイベント中継や自治体からのニーズを見込んでおり、すでに北海道で実施された災害対策用ネットワークの実験でも使用された実績がある。

 ファイル形式はReal PlayerまたはWindows Media Playerに対応。エンコーダーは車両に搭載されているものが利用できるほか、自前のエンコーダーを持ち込むことも可能だ。撮影機材やカメラクルー、インターネット上の配信サーバーなどは別途用意する必要があるが、これらも別メニューとして用意する。

 同社は2001年6月、固定局用にIPCastシステムの提供を開始。8月には移動局用の中継車両も開発し、同年10月にはゴルフトーナメント、2002年2月には札幌の雪祭りの中継で運用された実績がある。しかし、従来の車両は2トントラックまたは牽引型だったため扱いにくく、より小型の車両への要望が高かったという。

 ランドクルーザーをベースとした中継車両については、レンタル方式での提供のほか、長期利用者に対してはリースや販売も検討している。IPCastシステムのアンテナ/ターミナルの価格550万円、取付費用50万円、車両価格などを含み、価格は1台4,000万円弱となる。

走行中の状態では、アンテナが折り畳まれている。駐車後、まずは手動で車両のジャッキアップ、アンテナのカバーと固定用ベルトの取り外しを行なう アンテナの展開、方角調整は車内から操作可能。天候の影響で回線品質が低下すると、バリアブルに帯域を調整し映像が途切れないようにする機能があるという。荷室に電源機器が見える 2列目のシートを取り外した位置にラックが取り付けられており、ここに通信機器類が収められている。右上がIPCastのターミナルユニットだ

(2002/5/23)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

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