■URL
http://www.aclu.org/news/2002/n053102a.html
http://www.paed.uscourts.gov/documents/opinions/02D0415P.HTM
米連邦地裁は31日、米国の公立図書館にWebコンテンツのフィルタリングソフトの導入を義務付ける「児童インターネット保護法」(CIPA)について、アダルト情報に加え、言論の自由で保護されているコンテンツをも閲覧不能にするとして、違憲判決を下した。原告側を代表する米市民自由連盟(ACLU)が同日、明らかにした。今回の訴訟では控訴裁判所が陪審員を任命しており、判決に不服があれば最高裁判所で直接争うことになる。
CIPAは2000年12月に議会で可決した法律。同法では公立図書館に、市販の「CyberPatrol」や「WebSense」といった「インターネット接続を遮断またはフィルタリングする特殊技術」を導入するよう義務づけている。これに対して、米国憲法で保証された言論の自由を侵害するものとして、ACLU、オレゴン州ポートランドやメイン州ポートランドの公立図書館などが違憲訴訟を起こしている。
地裁は原告側の訴えを認め、フィルタリングソフトによって未成年に有害な情報だけを効果的に遮断することはできないと指摘。フィルタリングソフトは不完全なツールで、そのメーカーやベンダーは多くの問題に直面していると追加した。
9日間に渡る、図書館員や支援者、Web出版社、専門家などの証言に基づき、地裁は100ページにもおよぶ事実認定書を作成。その中で「コロンブス騎士会やホンデュラスのキリスト教孤児院、複数の議員候補者のWebサイトなど、少なくとも数万ページものWebページが間違って遮断されている」と認定した。
今回の違憲判決について、ACLUのAnn Beeson氏は「裁判所は本日、政府が不完全な遮断プログラムを使って図書館を管理することを禁止した。裁判所は、このようなプログラムには本質的な欠陥があり、有用な言論へのアクセスをも必然的に妨げると認定した」とコメントした。
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(2002/6/2)
[Reported by 江藤浩幸]