【団体】

“世界携帯電話”実現に向けて有力企業約200社が業界団体を設立

■URL
http://www.openmobilealliance.org/
http://www.openmobilealliance.org/pr2002-06-12.html

 世界中で相互運用性を持つ携帯電話の共通仕様を策定することを目的とした業界団体「Open Mobile Alliance」が12日、有力企業約200社により、カナダのバンクーバーにて旗揚げされた。このニュースは、すでに世界の多くの地域で使用されている携帯電話の通信規格GSMになぞらえて「GSMの仕様が発表されたことに匹敵する」大ニュースだとNokiaはプレスリリースで激賞している。

 現在Open Mobile Allianceに参加している企業には、Nokia、QUALCOMM、Ericsson、NTTドコモなどの携帯電話主要企業、Motorola、Texas Instruments、Intel、Lucentなどのデバイス関連企業、その他にもアプリケーションで力を持つMicrosoft、英Vodafone Groupなどのオペレーターなどおよそ携帯電話に関わる主要企業がこぞって参加している。

 Open Mobile Allianceは、これまで携帯電話分野に乱立していたさまざまな業界団体を合併する形で発足する。まず第1段階として「Open Moblie Architecture Initiative」と「WAP Forum」が合併し、次に「Local Interoperability Forum」、「MMS Interoperability Group」、「SyncML Initiative」、「Wireless Village Initiative」などの団体がすでに合併する覚書を交わしている。Open Mobile Allianceでは他の業界団体にも参加を呼びかけている。

 Open Mobile Allianceは、ユーザー立場にから情報を集め、どのような機能とサービスを求めているのかに基づいて仕様を策定する。携帯電話端末、オペレーターを通じた相互運用性を実現し、企業同士の開発競争を和らげる意図を持つ。携帯電話はすでに音声通話のためのツールではなく、インターネット、OS、アプリケーションなどが複雑に統合された携帯デバイスとなっており、その互換性を向上させることは簡単なことではない。Open Mobile Allianceでは、そのために以下の4つの主要原則を打ち出している。

・製品やサービスはグローバルスタンダードに基づいているべきで、プロトコルやインターフェイスは独自のテクノロジーを用いたものであってはならない。

・GSM、CDMAなどのアプリケーションレイヤーは利用者が意識しなくても済むようなものであるべきだ。

・アーキテクチャフレームワークとサービスは携帯電話に搭載されているOSとは独立しているべきである。

・携帯電話のプラットフォームとその上で動作するアプリケーションは相互運用性をもち、世界中のどこでもシームレスに使え、2.5世代、3世代携帯電話などにかかわらずローミングが可能である。

 Open Mobile Allianceではこうした目標を掲げつつ、IETFやW3Cなど既存の標準化団体と協力し、さまざまな標準規格を統合していくことも検討していくとしている。

 携帯電話は基盤技術において分裂しているだけでなく、キャリアごとにその仕様は異なっている。さらに携帯電話上でのインターネット利用が加速することで、その上で動くゲームアプリケーション、インスタントメッセージ、ショートメッセージ、マルチメディアメッセージなどさまざまなアプリケーションに互換性がない状態が続き、ユーザーはその不便を押して利用せざるを得なかった。Open Mobile Allianceの試みは、こうした互換性にかかわる問題を根本的に解決しようとする野心的なもので、現段階においては完全にユーザーの立場に立ったものだ。企業の利害を乗り越えてOpen Mobile Allianceが成功おさめるかどうか注目されるところだ。

(2002/6/13)

[Reported by taiga@scientist.com]

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