【業界動向】

長距離通信大手WorldComの不正会計処理が発覚、Nasdaqでの取引停止

■URL
http://www.worldcom.com/about_the_company/press_releases/display.phtml?cr/20020625
http://www.andersen.com/website.nsf/content/MediaCenterNewsReleaseArchiveworldcomstatement!OpenDocument
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2002/06/20020626-2.html
http://www.nasdaqnews.com/news/pr2002/ne_section02_126.html

 米長距離通信2位のWorldComは25日、2001年と2002年第1四半期の財務報告を修正すると発表した。同社の会計処理を内部監査した結果、過去5四半期に渡って経費の一部を設備投資費として計上していたことが明らかとなったためだ。このように不正処理された経費は、2001年には30億5,500万ドル、2002年第1四半期には7億9,700万ドルにものぼる。このような不正会計処理がなければ、2001年と2002年第1四半期のEBITDA(金利・税金・償却前利益)が減少するほか、純損益は赤字となる。

 WorldComは、外部監査会社として最近契約した米KPMGに直ちに報告するとともに、過去5四半期に渡る業績報告ついて包括的な会計検査に取りかかるよう依頼。さらに、2001年と2002年第1四半期の財務報告の検査を担当した米Andersenに報告した。Andersenは、昨年不正会計処理が発覚して破綻した米Enronの会計監査を担当していたことで問題となっている会計会社だ。そのAndersenは6月24日、WorldComに対し「経費の不正転用により、2001年と2002年第1四半期の財務報告に関する監査報告は信頼できない」と忠告していたという。

 WorldComはこの事件を米証券取引委員会(SEC)に報告。また、WorldCom取締役会の監査委員会は、SECの法的執行部門を統括していたWilliam R. McLucas氏と契約し、独自に調査を行なう。

 WorldComの不正会計処理が発覚したことで、米株式市場のNasdaqは26日、WorldComの「WorldCom Group」と「MCI Group」の株式取引を同日朝に停止。取引停止前の株価はWorldCom Groupが83セント、MCI Groupが1ドル68セントだった。NasdaqはWorldComに詳細な情報の提出を求めており、これを満たすまでは取引を再開しないとしている。

 なお、WorldComの不正会計処理発覚について、米国のBush大統領は26日、「米国で起きている会計慣行の一部について深く憂慮している」との声明を発表。さらに「Worldcomの34億ドルにものぼる不正会計処理の発覚は、あまりにもひどい。我々は、株主だけでなく社員をも欺いたことに対して、徹底的に調査して解明する責任がある」と厳しく非難した。

 WorldComは1998年、旧WorldComと旧MCI Communicationsが合併して誕生した巨大通信企業。不正会計処理発覚による信用低下やNasdaqでの取引停止により、破綻する可能性も出てきた。WorldComはバックボーンの市場シェアが高く、米国におけるシェアの4割近くを占めており、同社が破綻すればインターネットへの大きな影響は免れないだろう。

(2002/6/27)

[Reported by 江藤浩幸]

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