【海外動向】

独、ネットの浸透にはIT関連の教育強化が不可欠
~イニシアティブ「D21」会議開催

■URL
http://www.d21.de/
http://www.bmi.bund.de/top/dokumente/Pressemitteilung/ix_86622.htm

 独学生最大の団体・イニシアティブ「D21」の年次会合がこのほど独東部のライプツィヒにおいて開催された。その中で、独IBM社長であり、D21の理事長も務めるエルヴィン・シュタウト氏が基調講演を行ない、「D21が成功すれば電子政府化が進み、企業や市民は“開かれた政府”を目の当たりにすることになる」と語った。

 今回のD21会議は「インターネットで国を作る-電子政府と民主主義の将来」をテーマに開催された。独国では、シュレーダー首相が提案した「全員にインターネットを」という10項目のプログラムが一応の成功を収め、かなりの成果を上げている

 これまで、IT技術レベルの短期的強化のため、独版グリーンカード制度を導入し、主に東欧などからIT技術者の移住を促進する政策が行なわれた。また、中長期的な強化をめざし、教育現場でもIT強化を打ち出した結果、1998年には14,000人のみであったIT関連分野の学生数が現在では7万人になっている。大学レベルでもこの傾向は顕著で、2001年のIT関連分野専攻の学生は1997年の倍の38,000人に増加した。しかし、実際を見ると、市民全体にネットが浸透したという感は薄く、今大会では教育分野でのさらなる強化がやはり不可欠との認識が示された。

 独政府は、2005年までに電子政府化を進める計画「Bund Online 2005」を持っているが、今後3年間は市民レベルにネットが行き渡る必要があるとの認識が示された。上述の「全員にインターネットを」により、ネット普及率、ブロードバンド普及、ネット接続料金レベルなどで北欧や米などに肩を並べるに至っているが、政府側の出席者である独シリー内相は、次の目標として「インターネットに公開性を」を挙げ、電子政府化を進めることを強調した。

 また、電子署名の一層の普及がネット化には不可欠との認識が示された。これは、急速に普及するブロードバンド接続に対応するものと考えられている。これに対して内相は、年内に10万件の認証を行なう必要があるとの認識を示した。

(2002/7/2)

[Reported by Gana Hiyoshi]

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