【業界動向】

サイバー・ローを検討する「情報ネットワーク法学会」が設立

■URL
http://www.in-law.jp/

苗村憲司氏

 インターネットの発展にともなって、現行法では対処しきれない事例が増えてきたことをかんがみて、法解釈や新たな立法政策などを研究する「情報ネットワーク法学会」が発足する。慶應義塾大学教授の苗村憲司氏が発起人代表を務め、7月27日に設立総会を実施する。

 同学会では、時代のスピードに乗り遅れずに立法議論を行なったり、日本国内のインターネット関連法の検討の場を提供する。また、すでに発表されている日本語の論文についても英語の要約を作成し、海外にアピールしていくという。7月1日時点での会員として、学生9名のほかに官公庁(総務省や経済産業省、内閣官房、警察庁など)や弁護士、IT関連企業の法務担当者など149名、およびNTTコミュニケーションズら3団体が参加している。

 苗村氏は、「インターネット、携帯電話、放送分野などの著しい進歩は、ある意味で技術者のエゴイズムに基づくものだ。すでに法的対策が必要なケースが存在しているが、安易な規制はその後の進展を阻害したり、利害調整も難しい。また、情報家電などの浸透で、ユビキタス時代にヘビーユーザーでない層が弱者になってしまうことを防ぎたい。そこで、あらゆる立場からさまざまな意見を持つ人が検討を加える場として学会を設立する」と語った。また発起人の一人である明治大学の夏井高人氏は、「インターネットのおかげで世界中の法律を知ることができたのも事実。今後は、ネット上での裁判もあり得る」と述べ、近畿大学の岡村久道弁護士は「これからの法律家は技術を理解しなくてはならず、技術者も法的な視点を持つことが必要」とコメントした。

 同学会では、27日の設立総会と同時に第1回目の研究大会を開催する予定だ。なお、今後は年2回のペースで研究大会を開催していくとのこと。

(2002/7/3)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]

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