【業界動向/プライバシー】

米国のプライバシー団体連合、ユーザーの匿名性を求めISPなどに書簡

■URL
http://www.eff.org/Censorship/SLAPP/20020711_eff_pr.html
http://www.cdt.org/press/020711press.shtml
http://www.cyberslapp.org/DoePressRelease.cfm

 米国のプライバシー団体の連合が11日、米国内のISPやインターネット関連企業に対して、ユーザーの匿名性を守るポリシーを明記するように求める書簡を送付したことが明らかになった。この動きに賛同しているのは「American Civil Liberties Union」(ACLU)、「the Center for Democracy and Technology」(CDT)、「the Electronic Frontier Foundation」(EFF)、「the Electronic Privacy Information Center」(EPIC)、「Public Citizen」の5団体である。

 プライバシー団体がこのような要請を行なうのは、企業に対してインターネット上で批判した人物の身元を特定するための「ばかげた」訴訟が頻発しているためであるとしている。このような所謂「cyberSLAPP」訴訟では、企業は「身元不明」の人物に対して訴訟を起こしてその人物の召喚状を請求する。訴訟内容は中傷、商標著作権侵害、規約違反などであることが多い。現在の米国の法律では、このような場合にISPがその人物に対して召喚状が発行されていることを知らせる義務はなく、ISPが法廷で身元を特定してしまう場合が多いとされる。この状況についてPublic CitizenのPaul Levy氏は「自分が攻撃されているということも知らずに自分のプライバシーと匿名性を守るために戦うことなどできない」と語った。

 書簡を送ったプライバシー団体連合はユーザーのプライバシーを守る点でYahoo!、Earthlink、Microsoft、AOLの四つのメジャーなオンラインサービスプロバイダーがこの点で非常に良い慣行を持っていると称賛した。この4社は企業から召喚状を申し立てられると顧客に通知しており、プライバシー団体の連合は他のISPやサービスプロバイダーに同様の行動をとるように呼び掛けている。

 このように匿名での発言を守ることが重要だとプライバシー団体が考えてる理由についてACLUのAnn Beeson氏は「インターネットでの匿名の発言は、人々が公にしにくい批判をしやすくすると同時に、中毒や性的虐待などといったその人物に汚名を着させるような議題に関する情報を共有したり支持を与えることを可能にするものだ」と指摘した。

(2002/7/12)

[Reported by taiga@scientist.com]

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