【裁判】

独最高裁、ネットでの記事の二次利用にも別個の使用料支払い認める

■URL
http://www.djv.de/aktuelles/presse/archiv/2002/12_07_02.shtml

 独最高裁は11日、独企業VG Wortが新聞社と争っていた上告審の判決において、「電子コピーは紙媒体のコピーとは本質的に区別することはできず、従って、著作権法上の複製の概念が適用される」との判断を下した。この結果、紙媒体において掲載された記事を無断で電子媒体に掲載することは、著作権における「複製権」の侵害となり、著者であるジャーナリストに対して損害賠償をする義務が生じることになる。 独ジャーナリスト連合(DJV:Deutschen Journalisten Verbandes)は、この判決に対して「今後の指針となる」と評価するコメントを出した。

 VG Wortは、フランクフルトの企業との間で、新聞記事に掲載されたプレスレビューの電子コピーを配信するサービスについてライセンスする交渉を行なっていたところ、「その記事の著作権は記事を掲載した新聞社にあり、もとの著者であるジャーナリストにはない」として、ライセンス設定の差止めが請求されていた。

 原判決では、一審のハンブルク地方裁判所でも二審のハンブルク上級地方裁判所でも、VG Wortすなわち元の記事を書いたジャーナリスト側にはライセンスを付与する権限はなく、ライセンス設定行為を禁止する判決が言い渡されていた。その理由としては、法的に認められた著作権の範囲において、ある著作物(ここでは記事)のスキャン、および、その電子的な利用が含まれないからと判断されることが挙げられていた。この結果、VG Wortは、著作権料を徴収することができず、「著作権者」である、ジャーナリストにも著作権料を支払うことができていなかった。

 最高裁判決では、二審の判決を破棄。電子的なプレスレビューは、事務所や企業内のみで利用される場合や、あるグループ内で閲覧可能である場合、従来型のプレスレビューと概念的に何ら異なるところがないと判示。結果、もとのジャーナリストの著作権が及ぶと解釈されることとなった。

(2002/7/16)

[Reported by Gana Hiyoshi]

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