【業界動向】

アラブ首長国連邦・ドバイのIT政策は至れり尽せり

■URL
http://www.dubaiinternetcity.com/
http://www.dubaimediacity.com/

 株式会社三菱総合研究所は24日、「ブロードバンド/デジタル放送時代における中東の新勢力」と題したセミナーを開催し、アラブ首長国連邦(UAE)の中で2番目の広さを持つ首長国ドバイのIT政策を紹介した。なお、UAEのインターネット・ユーザーの人口に占める割合は23.6%と、中東諸国の中ではずば抜けて高い。

 UAEの国民一人あたりのGDPは1万7,684ドルで、石油産業が全体の34%を占める。しかし、伝統的には商業・貿易の中継地として栄えており、現在はITや観光などの産業開発に注力している。その政策として産業フリーゾーン「The Dubai Free Zone for Technology, e-Commerce and Media(TECOM)」計画が進行中だ。TECOMでは、外国企業を誘致するための特典として、100%外資可、現地スポンサー不要、資本・利益の国外送金の自由、法人税・関税の免除、労働力輸入の自由、50年間の土地使用権などを打ち出している。現在10%程の開発が進んだTECOMの中に、IT産業を支援する「Dubai Internet City(DIC)」と、メディア・放送産業を支援する「Dubai Media City(DMC)」がある。

DICの様子。右側に見える建物はMicrosoft

 DICの開設は2001年10月で、すでにMicrosoft、IBM、Oracle、キヤノンなど200社以上が入居しており、さらに200社以上が入居を希望している。ヨルダンやシリア、レバノンといった中東諸国やインドから技術者を集めることが可能で、彼らの就労ビザの取得もDIC側が24時間体制で一括取得する。また、全ての政府手続きにも一つの窓口で対応するワンストップ政策を採用している。

 一方、DMCの開設は2001年1月で、メディア・出版・音楽関連企業など200社が入居している。MBC(中東放送)が本局をロンドンから移転したほか、ロイターも支局をカイロから移したという。DMC共通棟にはメディアビジネスセンターとしてフリーランスなども利用できるレンタルオフィスを年額46万円から提供している。中東諸国の中には取材目的の長期ビザの受給が難しい国もあるが、DMCを通じて取得することも可能だ。また、取材機材のレンタルも充実しており、取材拠点として最適なサービスを提供している。

 DIC、DMCともに2Mbpsのインターネットアクセス、IPアドレスの発行、携帯電話ID付きのIP電話やWebホスティングなどを受けられる。中東諸国(イスラム圏)ではさまざまな制約が想定されるが、TECOM内ではアラビアの法律は適用されず、問題が発生した場合はロンドンの仲裁センターで処理されるという。特にDMCでは、表現の自由が完全に保証されているのが特徴的だ。

(2002/7/24)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]

ほかの記事はこちらから

INTERNET Watch編集部internet-watch-info@impress.co.jp
Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.