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上からソニー銀行の石井社長、十時取締役
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説明会ではまず代表取締役社長の石井茂氏が挨拶し、次いで代表取締役執行役員の十時裕樹氏が開業1年の成果について説明した。十時氏は、この1年について「ほぼ順調だが、“ソニー”というブランドイメージから見ると、地味との印象も持たれている」と発言。経常収支は依然として赤字だが、「リテールバンクはそもそもローリスク・ローリターンの、非常にジリジリとしたビジネス。急に良くも悪くもなるものではないが、当初からの目標である3年目の黒字化に向けて、じわじわと良化している」(十時氏)とし、預かり資産残高、口座数ともに推移は順調という。
“資産運用のための銀行”をうたっているソニーバンクだが、通常の預金に加え、外貨預金、外貨MMFの比率が高い点が1つの特徴だ。2001年秋に開始した外貨預金は昨年度分で196億円の増加となったが、この数字はUFJ銀行の外貨預金増加分(200億円)とほぼ同等だ。また投資信託では、外貨MMFが60%以上に達している。投資信託については、同行オリジナルの「MONEYKit」シリーズが好調で、1年間で預かり資産残高が約12億円に到達。窓販ランキング(投資信託を扱う金融機関・120社を預かり資産残高で並べたランキング)では1年間で約40位上昇し、現在は京葉銀行、東京スター銀行、大同生命などと並び70位台となっている。一方、対面なし、インターネット上のみで手続きを完了できる点が特徴の住宅ローン(今年3月より開始)は、業界からの“インターネットで住宅ローン販売は不可能”という予想を覆し、かつソニーバンク自身の予想を上回る好調ぶりとしている。
十時氏は「リテールバンク成功の鍵は効率性とブランディングにある」と発言。過度のインフラをもたずに経営リソースの選択と集中を図ること(効率性)、また金融リテラシーが高まっている顧客にユーザーに支持されるかどうか(ブランディング)がキーファクターになると指摘。その上で、ソニーバンクは「すべてのカードを切らないことが戦略ポリシー」と述べた。戦略としてやることを絞りこんだ上で、安易なキャンペーンは行なわず、ソニーグループのリソースに依存しないといったスタンスをとってきたという。2年目はその点をやや改め、キャンペーンの多様化や、ソニーグループのリソースの活用、ATMの提携拡大やモバイルへの対応などを視野に入れた展開を図るという。特にソニーリソースの活用では、2002年秋発売モデルの「Vaio」シリーズのデスクトップへ、ソニーバンクのアイコンやサービス説明ファイルなどをバンドルすることが決定しているほか、ソニーファイナンスによるクレジットカード「My Sony Card」や電子マネー「Edy」と連携した展開も予定しているという。また現在のソニーバンクは30~40代の男性が多く、ターゲットとして“ITリテラシー・金融リテラシーのともに高い人”をメインとしているが、それ以外の層にもアピールしていく。
ネット銀行のメイン機能となりつつある“決済”については、インフラ投資などにかなりのコストがかかる点もあり、「ネット決済をやれば会員数を急増できるメリットはあるが、当面予定はしていない」(十時氏)という。また石井社長は、「今年度末で預り資産残高3,000億円の達成が目標で、ユーザー数増加は重要な課題でもある。ただ、通常の銀行では給与振込や公共料金引き落としなどにインセンティブを与え、囲い込みをしているが、ソニーバンクでは囲い込みは行なわない。インターネットでサービスをやっている以上、オープンなものとして、お客さんに選択肢を与えられるサービスを提供していく。銀行のメインバンクの発想をデパートとするなら、うちはブティック」と、ソニーバンクの意図を説明した。
なお、ソニーバンクでは8月19日から「モモの口座開設キャンペーン」を開始。期間中に口座を開設して定期預金を申し込んだ人から抽選で300名に、折り畳み自転車などの“モモとおでかけグッズ”が当たるキャンペーンを予定している。
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(2002/8/8)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]