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警察庁は22日、2002年上半期における「不正アクセス行為の発生状況等」、「ハイテク犯罪の検挙及び相談受理状況」、「いわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況」について発表した。
「不正アクセス行為の発生状況等」では、前年同期の959件と比較して、865件減の94件と大幅に減少していることが分かった。警察庁では、激減した要因として、前年に多発したワームによるホームページ書き換え事案(813件)等の「セキュリティーホールを攻撃するウィルス」が今年は激減しており、官民をあげた広報活動やアンチウィルス対策ソフトの導入などによって、セキュリティーホールの解消が進んだためとしている。
94件の内訳では、プロバイダーが管理しているサーバーにおける発生件数が55件(前年同期75件)と最も多く、次いで一般企業25件(同330件)、その他12件(同71件)、不明0件(同402件)となっている。これらをみると、全体的に不正アクセスの発生件数は減少しているものの、一般企業や不明なものにおける発生件数だけで707件減少している点が注目だ。発生認知の端緒としては、サイバーパトロールや被疑者の取調べ等の警察活動によるものが40件と最も多く、次いで利用権者(アクセス管理者の許諾を得た者)からの届出34件、管理者からの届出19件となっており、昨年より増加しているサイバーパトロールが今年も活躍していることを表している。
不正アクセス禁止法違反事件の検挙状況では、27事件(63件)、検挙人員が42人となっており、前年同期比で14事件(46件)増加し、検挙人員は27人増加している。この中でも、IDやパスワードを盗んで利用したり、安易なパスワードを解読して利用するなどのケースが23事件(44件)と一番多く、特に知識の無いものでも管理者の不注意等からパスワード等を不正に入手して悪用できるケースが増えていると指摘している。また、この対策として、IDやパスワードの管理を厳重化し、定期的にパスワードを変えるなどの対策を推奨している。
「ハイテク犯罪の検挙及び相談受理状況」では、ハイテク犯罪の検挙総数が488件と、前年同期365件と比較して約34％増加している。中でもネットワーク利用犯罪が443件と大半を占めており、前年同期319件から39％増と大きく増加している点が特徴だ。
このネットワーク利用犯罪の中でも、児童買春事件は114件(すべて出会い系サイトを利用)となっており、同46件から2.6倍に急増している。また、青少年保護育成条例違反事件が25件と同2件と比較して、こちらも急増している。
相談受理件数では、総受付件数では9,092件と同8,962件から微増している。中でも一番多いのが、インターネットオークションに関するもの1,495件(同1,360件)となっている。また、詐欺・悪質商法(インターネットオークションを除く)に関するものが、1,331件と同898件と比較して48％と急増している。このことから、インターネットオークションに関するもの以外にも、悪質な詐欺事件や悪徳商法が蔓延しつつあることが予測できる。
最後に「いわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況」では、総数が793件(同302件)となっており、前年と比較して約2.6倍と急増している。最も増加しているのが、児童買春によるもので400件(同133件)、次いで青少年保護育成条例違反事件が213件(同59)となっており、ネットワーク利用犯罪と同様に、出会い系サイトにおいても、児童買春や青少年保護育成条例違反事件が急増しており、警戒が必要であることを示している。中でも、被害者の93.5％が女性となっており、また女子高生が48.4％、女子中学生が25.0％と未成年女性が85.7％と大半を占めている点が注目に当たる。利用形態別では、パソコンによるものが35件(4.4％)、携帯電話によるものが758件(95.6％)と、圧倒的に携帯電話を利用したものが多い。
これらのことから、今年の上半期においては、ウィルスなどによる不正アクセス等は急減したものの、ネットワーク犯罪や出会い系サイトにおける児童買春や青少年保護育成条例違反事件などが2.5～3倍強も増加しており、歯止めがかかっていない状況が伺えるものとなった。
(2002/8/22)
[Reported by otsu-j@impress.co.jp]