丸紅紙パルプ物流株式会社 システム管理課長 佐野一博氏 |
企業のネットワーク管理担当者なら、誰しも悩むのが高品質なインターネット接続回線とコストとのバランスだろう。管理者は、現場の品質向上要求と経営のコスト削減要求との板挟みになりがち。そんな相反しがちな2つの要求に応えられるのが光ファイバーによるインターネット接続回線だ。
従来、光ファイバー回線は非常に高価で、おいそれと導入できる代物ではなかった。ところが、最近ではADSLを超えるブロードバンド回線として注目され、以前では考えられないような低価格で光ファイバー回線を導入できるようになっている。今回は、注目の光ファイバー回線をいち早く導入した丸紅紙パルプ物流株式会社にお邪魔して、その経緯を取材した。
「以前から光ファイバー回線を導入したかったんです」。システム管理課長の佐野一博氏は開口一番に語った。それまでさまざまな制約から暫定的に128Kbpsの専用線を利用していたものの、安価な光ファイバー回線のサービスが存在することを知り、すぐに導入を決意したという。
●高速回線が業務に与えたメリット
丸紅紙パルプ物流で利用している「Web出荷オーダーシステム」 |
丸紅紙パルプ物流にとって光ファイバー回線の導入には、どのような必然性があったのだろう。佐野氏は「弊社は紙パルプ専門のロジスティック(物流)会社で、社内にWebによる発注システムを抱えています。ですから、お客様に快適なインターフェイスを提供することが私の重要な役割なのです」として、その理由を述べた。「その点いままでの128Kbpsでは心許なかったのですが、光ファイバー回線なら比べものにならないほど高速で安定しています。その意味で、今もてはやされているADSLは眼中にありませんでした」と語っている。
つまり、光ファイバー回線が、従来の回線より高速で安定していることが決め手だったのだ。業務用として使うのだから高速なだけでなく、安定していることも重要なポイントだろう。光ファイバー回線は、ADSLのように局舎との距離によって速度が変化したり、ノイズによってリンクが切れるということもない。
「そのほか、輸入パルプの検査で撮影したデジカメ画像を素早く本社に転送できるようになりましたし、回線に余裕がありますので、IP電話を導入して電話料金の削減も考えています」(佐野氏)
100Mbpsという余裕の回線1本で業務の効率化やコストの削減などを同時に実現できるとあって、佐野氏は満足げだ。
●サポート体制も重要
現在、光ファイバー回線によるインターネット接続サービスは数社から提供されているが、そのなかから佐野氏が選択したは、USENの「BROAD-GATE 02」というサービス。「BROAD-GATE 02」は法人向けに提供されている光ファイバー回線で、バックボーンに直結された100Mbpsの高速回線だ。
佐野氏は「サービスエリアなどのほか、サポート体制も導入の決め手になっています。営業の方が技術に明るく、私の疑問や要望に的確な対応をしてくれました」と回線サービス選定の決め手を語った。「おかげで回線切り換え時はノートラブルで、非常にスムーズでした」。
これは管理者にとっては重要な安心材料だろう。光ファイバー回線を導入する際、多くの企業では既存回線との切り替えが発生する。いくら魅力のあるサービスでも、切り換えに不安があれば二の足を踏んでしまう。ユーザーごとに細かな技術的ケアができてこそ、“回線サービス”と呼べるのだ。企業向けサービスならではのサポート体制が整っているかどうか、導入前にしっかり見極めたいものだ。
■BROAD-GATE 02
http://www.usen.com/gate02/
●やはり気になるのはコスト
「高速で安定している」というのは、光ファイバー回線ならではの魅力だが、、やはり気になるのはコストだろう。これについて佐野氏は次のように語っている。「実は、以前の128Kbps回線の環境と比べると、ファイヤーウォールのリース料などを含むトータルコストで月額で38,200円のコストダウンなんです。年額だと458,400円ですから、とても助かります」。
例えば丸紅紙パルプ物流が導入した「BROAD-GATE 02」の場合は、回線利用料は固定IPアドレス1個の場合で月額22,000円、8個の場合で32,000円、16個の場合で52,000円となっている。光ファイバー回線の価格がここまで下がった今、導入を検討してみる価値は十分にあるといえるのではないだろうか。
(2002/8/23)
[Reported by 齋藤 正穂]