株式会社アンラボと産業システム総合商社の株式会社千代田組は3日、韓国Ahnlab社のウィルス対策ソフト/サービスの販売で業務提携し、日本市場に本格参入すると発表した。コンシューマー向けのウィルス対策ソフト「V3 VirusBlock」を11月に発売するほか、新種発生の初期段階でウィルスを遮断する企業向けサービス「VBS(Virus Blocking Service)」を年内にも開始する。
V3 VirusBlockは、Windows対応のクライアントソフトで、価格は4,980円(2年目以降は更新料が年額2,000円)。ウィルスのチェック・駆除機能のほか、パーソナルファイアウォール機能も備える。このほか、個人情報やデータの保護機能を備えたソフト「Secure Gate」を年内にもリリースし、年明けにはこれらのソフトをパッケージしたスイートも投入し、コンシューマー向け製品のラインナップ拡充を図る予定だ。
VBSは、企業のメールサーバーに専用のフィルタリングソフト「Polocy Receiver & Mail Filter」を追加することで、ウィルスメールの流入を防止できるサービス。新種ウィルスの発生時、定義ファイルの簡易版とも言える“遮断ポリシー”をいち早く配信し、疑わしいメールが企業のメールサーバーに届く直前で保管しておく仕組みだ。遮断ポリシーは、新種ウィルスメールの件名や添付ファイル名、ヘッダーなど5項目の条件が指定されており、Ahnlabが新種ウィルスを検知してから平均15分以内に作成・配信されるという。
他社のウィルス対策ソリューションをすでに導入している企業でも、単独でVBSを追加導入できるという。既存のウィルス対策ソフトのワクチンアップデートまでには平均で2~3時間かかることを考えれば、新種ウィルスの初期段階での流入や拡散による被害を最小限に抑えることができるとしている。利用料金は未定だ。
Ahnlabは、韓国市場で65~70%のシェアを占めるウィルス対策ソフトのNo.1ベンダーだという。もともとは医師だった、同社CEO兼代表取締役社長のアンチョルス氏が1995年に設立した。医師の研修生だった1988年にアン氏が実際にウィルス被害にあったのを機に、自分でこれを分析してワクチンソフトを作成したのがルーツだ。以降、アン氏は医師と併行してウィルス対策ソフトの開発を継続。これを無償で提供してきたことで多大な信頼を得た結果、米国製品の参入後もトップシェアを維持しているという。今回の日本進出では、まずは3年後5%のシェア獲得を目指す。
(2002/9/3)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]