インターネット電話サービス「IP Talk」を6月から展開しているアイピートーク株式会社は25日、IPによる携帯電話事業に着手すると発表した。既存のホットスポットをはじめとする無線LAN環境などから利用できる「モバイル IP Talk」サービスを2003年にも開始する。定額の月額基本料金だけで加入者間同士が無料通話を行なえるようにするほか、既存の電話網への通話も低料金で提供する計画だ。
アイピートークの株主の1社である三菱電機が、IP携帯電話端末を開発した。三菱電機が提唱し、固定サービスのIP Talkでもすでに実績のある「HCAP(HTTP-based Conference Application Protocol)」方式を採用しており、プライベートアドレスやファイヤウォール越しの通話も実現。さらに、端末から数秒ごとにモバイル IP Talkの管理サーバーにアクセスすることで、移動にともなうIPアドレスの変化にも対応できるという。
アイピートークでは今後、ホットスポットを運営するキャリアやISPとの提携を軸に事業展開を図り、モバイル IP Talkが利用できる環境の整備に取り組む考えだ。今回開発されたIP携帯電話端末は、無線LAN区間の各種認証方式にもファームウェアの変更などで対応できるようになってはいるものの、その仕様はホットスポット事業者ごとに異なっているのが現状だ。モバイル IP Talkが広く普及するには、特定のホットスポット事業者のエリアだけに限定されず、キャリアを超えて利用できる枠組みを構築することが課題となる。
アイピートークの内藤明彦社長(左)と、三菱電機が開発したモバイル IP Talkの試作端末(右)。無線LAN通信には、CFスロットに子機カードを挿入することで対応する。代わりにPHSカードを使えば、Air H"などのPHS定額制データ通信サービス上でIP電話がかけられるようになる。今後は、SDカードの組み込みによるさらなる小型化を図りたいという |
(2002/9/25)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]