【実験】

~「ストリーミング映像配信技術標準化への大きな一歩」とNTT

NTTなど5社、VOD制御プロトコル標準化による各社製品間の相互接続を実現

■URL
http://www.ntt.co.jp/news/news02/0209/020927.html
http://www.pioneer.co.jp/press/release350-j.html
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn020927-2/jn020927-2.html
http://www.nec.co.jp/press/ja/0209/2702.html

 NTT、パイオニア、松下電器、NECなど5社は27日、光サービスアーキテクチャコンソーシアム(HSAC)が規定したVOD(Video On Demand)制御プロトコルを実装したVODサーバーとセットトップボックス(以下、STB)間において、相互接続に成功したと発表した。このような、VOD制御プロトコルを実装した各社製品間による相互接続に成功したことは、今後活性化が見込まれる光アクセス網によるストリーミング映像配信分野において、大きな前進だという。

 今まで、VOD関連機器間の接続方法は各社独自に開発を進めてきたため、各社製品間での接続ができず、光ブロードバンド時代におけるVOD分野の発展の障害と言われてきた。そこで、光アクセスサービス分野の標準化団体HSACのメンバーであるNTTが各社に呼びかけて、今回の相互接続実験に至ったという。

 今回の実験では、HSACが規定したVOD制御プロトコルを参加企業のサーバーやSTBの試験機に実装し、実験に及んだところ成功したという。この成功により、VOD制御プロトコルの標準化が進めば、コンテンツホルダーが各社の仕様に依存することなく配信することが可能になり、ストリーミング映像配信分野の活性化が見込まれる。

 今回の実験では、ほかにも「MPEG-2最大25Mbpsのハイビジョン再生を実現(以下、ハイビジョン実験)」や「MPEG-2暗号化方式によるコンテンツ保護を実現(以下、暗号化開発)」などにも成功している。

VOD制御プロトコルによる相互接続試験のイメージ図 最大25Mbpsのハイビジョン再生技術のイメージ図 高速処理が可能なMPEG-2暗号化方式のイメージ図

 従来のIPプロトコルを利用したストリーミングでは、IPパケットからストリームデータ(TSパケット)を抽出する際の処理負荷が大きく、家電用の比較的安価なプロセッサーでは、処理能力の問題から5Mbpsが限界とされていた。しかし、今回のハイビジョン実験では、IPパケットからTSパケットの抽出作業をハードウェア化(Broad Band - Network Interface Module:BB-NIM)することにより、最大25Mbpsの高品質化を実現したという。またBB-NIMでは、MPEG-2のデータに挿入されているタイムスタンプをもとに、データを渡す速度を調節し、パケット到着時間の不整合を解決した。これらの実現により、IPストリーミングでも25Mbpsのハイビジョン映像を長時間安定して再生できたという。

 また、MPEG-2のTSパケットは、ヘッダを除いたデータ部分(ペイロード)にタイムスタンプ等の制御情報が入っている場合があり、データ全体を暗号化することができなかった。つまり、ペイロードに暗号化すべき映像情報と暗号化すべきでない制御情報が両方含まれているため、必要以上に負荷を増やさないで暗号化部分の復元処理を行なうためには、映像情報と制御情報を適切に分別しなくてはならなかった。今回の暗号化開発では、この分別を適切に制御する方式を開発し、STBのプロセッサーの高速化を必要以上に要求することなく、コンテンツ保護を実現した。

 NTTでは、「今回の実験に参加したのは5社となっているが、HSACには80社以上が参加している。この実験を契機に、この80社が今回の方式を採用して標準化が進めば、ストリーミング映像配信分野にとって大きな躍進となるだろう。ストリーミング映像配信分野の躍進は、光アクセス市場やSTB市場などにとっても重要だと認識している」としている。

(2002/9/27)

[Reported by otsu-j@impress.co.jp]

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