【レポート】


横浜アリーナ、CYBERIA TOKYO

坂本龍一コンサート「1.23 INTERNET LIVE」レポート

■URL
http://www.kab.com/f/ (坂本氏オフィシャルサイト)
http://www.kab.com/f/netlive.html (INTERNET LIVE)
http://www.yamaha.co.jp/news/97012301.html (『インターネットMIDIライブシステム』解説)

 

 坂本龍一氏のコンサートツアー「PLAYING THE ORCHESTRA 1997 "f"」が、1月23日、最終公演を迎えた。当日はStreamWorks 2.0とRealAudio 3.0による生中継も行なわれたが、ここでは横浜アリーナでのリハーサルと、CYBERIA TOKYOでライブを再現した「インターネットMIDIライブ」の模様をレポートする。


 横浜アリーナのステージ裏には「ネットワークルーム」が設置され、ここからStreamWorksとRealAudioのデータを送信していた。編集部が訪れたときはリハーサル中であるためか、ややリラックスした雰囲気だったが、客席の中に設置された音響/映像の調整ブースとインカムでやり取りしながらシステムの微調整を常時行なっていた。


ネットワークルーム

インターネットMIDIライブシステム
送信サーバー

 また、坂本氏のピアノ演奏データをリアルタイムに送信したヤマハ株式会社は、客席の中に送信サーバーを設置していた。MIDIとは「どの鍵盤を、どのタイミングで、どのくらいの強さで弾いた」という情報をデータ化したものだが、「鍵盤から指を離した」というデータが欠落すると鍵盤が押されたままになるなど、データの再現性が強く要求される。そのため、データの送信ソフト/受信ソフトともに特殊なエラー訂正機能を付けたとのことだ。

 この「インターネットMIDIライブシステム」は、サーバーのプラットフォームがWindowsNTで、クライアントソフトはWindows 95用。ヤマハとしては、開発中のため現在のところ一般に公開する予定はないが、将来的には受信ソフトをプラグインなどで提供していきたいとのことだった。


 一方、東京・港区のインターネットカフェ「CYBERIA TOKYO」では、「インターネットMIDIライブ」が行われた。会場は、雑誌・テレビなどの報道陣や関係者で非常に混雑していた。映像をStreamWorks、オーケストラの音声をRealAudio、坂本氏のピアノ演奏データをインターネットMIDIライブシステムで受信し、会場で再構成することにより『バーチャル』と『リアル』の融合を目指したという。当初はISDN回線でプロバイダーに接続する予定だったが、サーバーの負担を考えて、急遽屋上にパラボラアンテナを設置しStreamWorksのデータは衛星経由で受信することにしたとのこと。


ごった返す会場内

MIDIデータ受信ソフト
ディレイタイムの調整が可能

 コンサートが始まると、映像とオーケストラの音声、ピアノが同期せず、バラバラになってしまった。実際には、それぞれの技術のデータエンコード/デコードにかかる時間が違うため、全てを同期させるということは不可能だという。インターネットMIDIライブシステムにはディレイの調整機能が付いているため、RealAudioのオーケストラ音声に合わせて、ヤマハのスタッフが音を聴きながら時間調整をするという一幕が見られた。


自動的に動く鍵盤 ( (C) Picatti DANDOLINI )

ピアノの時間調整をするスタッフ

 こうした状況の中で聴いた演奏は予想よりも音の再現性が高く、坂本氏の演奏どおりにピアノの鍵盤とペダルが下がる様子は、なかなか感慨深いものがあった。残念ながら映像のみが先に進んでしまい最後まで合わなかったが、イベント中継の今後の課題として、映像・音声の同期が残されていることが明確になったといえるだろう。

('97/1/24)

[Reported by takasaki@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp