【イチオシ】


第28回レポーター: 古川泰弘氏

スカンクワークスのホームページ
独創的開発組織スカンクワークスの秘密

■URL
http://www.lmsw.external.lmco.com/lmsw/index.html

 突然、こんなフリで申し訳ないが、レーダーに映らないステルス戦闘機(F-117A)をご存知だろうか? かの湾岸戦争でも活躍し、紙飛行機のような、あの変わった形が、脳裏に焼き付いてなかなか離れない。

 そこで色々と調べてみた。

 これを開発したのは、ロッキード社内にあるスカンクワークスという組織。スカンクワークスは、過去においては、偵察機(U2)、マッハ3以上で飛行できるブラックバード(SR-71)などを開発してきたそうだ。米ソ冷戦構造のもとで、このスカンクワークスの活動は極秘事項であったが、世界情勢の変化により存在が明らかとなった。今では、インターネットから彼らのホームページにアクセスできるようになった。

 ロッキード・マーチン社内にあるスカンクワークスのホームページは、彼らの使命や過去50年間に開発した飛行機の紹介をはじめ、「スカンクグッズ」の販売などで盛りだくさん。その生い立ちの紹介ページでは、1943年に誕生して以来、新しい技術を搭載した飛行機の開発に短期間で成功しているのが、機種ごとに表を用いて説明されている。また、ギフトストアで販売されている「スカンクグッズ」には、マグカップからシャツ、書籍、ビデオなどがあり、これがなかなかかわいいのだ。

 はたして、存在さえ極秘扱いだった組織が、ここまで柔軟に変化した例があっただろうか。

 世界に点在する無数のホームページには、それぞれにそこからにじみ出る作成者の個性や意図というものがあるはずだ。とかく、そのコンテンツ評価のほとんどが金銭的に評価され、コンテンツ自身が持ち続けてきた人間味や信頼というものが薄れがちだが、このスカンクワークスのホームページでは、設立者であるケリー・ジョンソン氏のユニークな開発ポリシーと彼の頑固さが見て取れ、妙に気に入ってしまった。

 現在、このスカンク方式の研究・開発手法が、世界各国へ広がりを見せているのだという。日本国内でも、政策レベルのアプローチとして、ある学会が取り上げていたそうだ。それは、ステルス技術の応用でではなく、その研究・開発の管理手法である。

 独創的な技術を大きな組織の中で実現するには、コスト削減のほか、情報の管理が求められるのだという。なおかつ、官僚主義とも戦わなければならない。非常に難しいテーマだが、身近な材料を利用し、管理コストを押さえ、迅速に安価なシステムを提供するという点においては、なるほど、十分企業経営に当てはめて考えることができる。

 変わった形の戦闘機に興味をもって調べているうちに、意外な発見をしたようで、少し得したような気がした。

('97/2/18)

[Reported by x2600@can.bekkoame.or.jp]


INTERNET Watchホームページ


ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp