【レポート】


Webクリエーターから見た「GoLive CyberStudio」レビュー

 本誌でも何度か取り上げているので、Macintosh用の高機能HTMLエディタ「GoLive CyberStudio」をご存知の方も多いだろう。「GoLive CyberStudio」は、Macintosh用パブリッシングソフトウェアを開発するGoLive社が、Macintoshのために開発したツールだ。今回は、自由度の高いこのHTMLエディタを、Webクリエーターの観点からレビューした記事をお送りする。(編集部)


●MacWorldでCyberStudio登場

 今年のMacWorldは「金魚」と「CyberStudio」だった。今一つ新しさに欠けた恒例イベントを救ってくれたのがこの2つだ。言うまでもなく金魚とはQuickTime3.0のデモのことだがそれと同じく人々をアッと言わせたのがこのCyberStudioだ。基調講演でのあのスマートなデモは「あぁやっぱりマックを使っていて良かった」と久々に思わせてくれたし、そこにいた誰もが嬉しい予感を胸に秘めて会場を後にしたに違いない。

 今までHTMLエディタといえば、あれはTableができないとかこれはFormが作れないとかそういう観点で診ていた人が多いだろう。で、結局は自分でエディタで書いたほうがいいので本格的なWebクリエイター達からは敬遠されていた嫌いもある。しかしそんな人達にもお薦めできるのがこのCyberStudioだ。


●洗練されたインターフェイス

 起動してまず気がつくのは、グラフィックを多用しているのにしつこくなく、洗練されたインターフェイスだ。各オブジェクトのアイコン表示など、グラフィカルなインターフェイスを採用しているため、意味がわかりやすい。
 オーサリングには、「Layout」「Outline」、そして「Source」という3つのモードがある。各モードでのオーサリングは、各オブジェクト(部品)を集めたPaletteとその詳細を設定するためのInspectorが補助をする。
 まず「Layout」だが、HTMLそのものを意識せずにオブジェクトをDrag&Dropでページに配置していく、直感的で視覚的にもわかりやすいモードだ。「Outline」は、HTMLのタグがツリー構造で表示される。そのタグをクリックすると、メニューバーのようにタグが選択できるようになっており、そのタグをマウスで動かすなどしてオーサリングしていく。ビジュアルな2つのモードに対し、テキストエディタのように、直接HTMLを編集できるモードが「Source」。これまで、オーサリングツールと、テキストエディタを併用して使っていたユーザーも多いと思うが、一つのソフトでこれらのことが行なえるのはとても便利だ。
 このほかに、サイト全体のファイルやURLの管理が行なえる機能もある。詳細は後ほど説明する。



●オブジェクトの自由配置

 さてCyberStudioの最大の売りは、テキストやイメージをページ上に自由にレイアウトできる「オブジェクトの自由配置機能」だろう。今まで透明GIFを使ってみたり、改行を入れてみたりと苦労していたのが好きなところにポンと置けてしまうのだからやられたという感じさえする。エディタに直接HTMLを書く方法では、さすがにここまで細かい位置指定は難しかったのだが、このCyberStudioを使えば簡単にできて便利だ。これは「Layout」モードにある「Layout Grid」という格子オブジェクトによって、Tableで実現されている。

サンプル

 でもこれが便利だが実はくせ者。いざ「Source」モードでエディットしようとすると身に覚えのない<TR>と<TD>が山のように入っていて非常に煩雑なのだ。だから「Outline」モードがついているのかもしれない。Outlineなら余計な所はクローズしておけるからだ。さらにこれもTABLEを使っている為の制約なのか、一度置いたオブジェクトの位置変更は基本的には可能なのだが、ときどき思ったように動いてくれず、困ることがあった。

サンプルのソース

 β版のせいかもしれないが、PreviewがCyberStudioとNetscapeで異なることがあるのが非常に気になる。例えば、入れたつもりのない空間がNetscapeでみるとあったり、指定したとおりのフォントの色やサイズがNetscapeでは出ていなかったりするのだ。完璧なデザインをめざすのにこれでは困ってしまう。最終版ではfixされていることを祈ろう。


●サイト管理機能

 サイト管理機能もついている。Projectウインドウにそのサイトに必要なHTMLファイルやリンク先などをどんどん詰め込んでいく。サイト全体のファイルをツリー構造で見渡せる「Site View」では、HTMLファイルや、それらの外部/内部リンク(URL)、そしてメールアドレス等も全てアイコン状態でツリー表示され、構造が把握しやすくなっている。また、マウスが特定のHTMLファイルの上に来るとそのファイルのリンク先とその間をつなぐ矢印が反転するので、ファイル同士のリンク関係もすぐわかる。これをうまく使えば、今まで煩雑になりがちだったサイト全体のファイル管理もかなりしやすくなりそうだ。



●最後に

 スマートで直感的でわかりやすくかつ多機能なCyberStudioは、クリエイターが本気で使える初のHTMLエディタなのではないだろうか。逆に全くの初心者には難しいかもしれないが、そういう人の為の選択枝はもう他にたくさんある。やっと使う側が目的に合わせてHTMLエディタを選べる時代になってきた、そんな気がした。



●関連URL

・GoLive社ホームページ
http://www.golive.com/

○Internet Watch関連記事

・「GoLive CyberStudio」日本語版6月発売に関する記事(4月8日号)
/www/article/970407/golive.htm

・ソフトウェア・トゥーが、GoLive社と総代理店契約を締結(3月17日号)
/www/article/970314/software.htm

・「GoLive CyberStudio」のβ版がダウンロード可能に(3月12日号)
/www/article/970311/html.htm

・MACWORLD Expo / Tokyo'97開幕(2月20日号)
/www/article/970219/macworld.htm

○PC Watch関連記事

・GoLive CyberStudioパブリックβ版試用レポート(3月17日)
/pc/docs/article/970317/golive.htm
[Reported by icy@st.rim.or.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp