【イチオシ】
■URL
http://www.thezen.or.jp/index-j.html
現代社会では、情報というものが大量かつ高速に我々の中を通過してゆく。人間の知恵と努力が情報になり、社会を発展させてきた。情報は我々にとって最も役立つものの一つだ。しかし、すべての情報が有効に利用されているわけではない。むしろすぐに捨てられ、消えていくもののほうがはるかに多い。
これら用済み情報を、我々はいったいどうしたらいいのだろうか。実は、それに応えるサイト(?)がある。京都の臨済宗妙心寺派塔頭大雄院がインターネット上に3次元仮想寺院「大雄山情網寺」を文殊菩薩を本尊として建立するとともに、「情報供養行事」を定期的に行うことになった。漢字ばかりで申し訳ない。
なんでも「情報供養行事」は、情報分野での「千」にあたる「1024」にちなみ『10月24日』を吉日とし、毎年仏教の伝統的な儀式で「大雄院」でとり行われるらしい。WWWの方も10月24日オープンと思いきや、それまで待てなかったのか、情網寺のページが追加されたのは釈迦の生誕日である4月8日だった。
日本には昔から「針供養」や「筆供養」のように、役立ってくれたものに感謝の意をこめて供養するという習慣がある。つまり、情網寺はその情報版。捨てられるソフト、捨てられる原稿などを供養しようというわけだ。しかも企業団体や個人の申し出により供養碑を大雄院内に設置することも可能であるとのこと。我々が日々使用しているような有名ソフトも、将来はロゴ入り供養碑になるのだろうか?
それはさておき、VRMLで記述された仮想空間内に再現された境内や、併設された3次元仮想美術館を散策してみよう。400年の歴史をもつ妙心寺大雄院の仏教芸術を、歩きながら鑑賞できる。マッピングされた現存の美術品や仮想寺院の灯籠などが並んでいるので、迷子にならないように気をつけよう。中でも現在意匠登録中の「ガンダーラ仏」に至ってはすごいインパクトだ。
とりあえず、信心深いかどうかはおいといて、自分の周りに散乱する用済み情報に目を向けてみよう。それらは自分自身の生活、勉強、仕事に確かに役立ってくれたものだ。もっとも、感謝し供養するかどうかは自由だけど、机や引き出しを久しぶりに開けてみるきっかけぐらいにはなりそうだ(その後、片づけるかどうかはまた別の話だが)。
時には、論文やレポートの作成に使った資料やその下書き、ボツ原稿の山(特に私)に感謝してみてはいかがだろう。
('97/4/15)
[Reported by yamagu-k@impress.co.jp]