【イチオシ】


第41回レポーター: 赤池孝充氏

あなたのネットワーク、息苦しくないですか?
検閲について考える「ANOTHER WORLD」

■URL
http://www.jca.or.jp/~toshi/

 少々唐突な気もするが、「検閲」に関するサイトを紹介したい。「ANOTHER WORLD」というタイトルのこのページ、様々な社会問題について精力的に取り組んでおり、幾つもの抗議文や反対署名などが掲載されている。

 はじめてこのページを目にしたとき、検閲という文字が幾つも踊っていて、かなりショッキングだった。内容をよく読んでみると、何気なく過ごしていたら気づかないところで検閲が行なわれようとしているということが分かり愕然とした。

 例えば「法務省盗聴法案」は、「検察官又は司法警察員」は「犯罪を実行し又は実行することに関連すると思料される通信」を「傍受することができる」とされ、実施にはさまざまな制約がつくとはいうものの、本人の同意なしで電話はもちろん電子メールの内容までチェックすることができるというものらしい。こんな法案が今、秋の臨時国会提出待ちになっているというのだ。

 また、「通産省・電子ネットワーク協議会『倫理綱領』」では、同省らがネットワーク事業者に対し「公序良俗違反など様々な倫理問題が生じないようにするための基本方針を提示」していたりする。つまり、各プロバイダーに、ユーザーが作るホームページなどの内容に問題がないか逐一チェックせよ、という国の指導だ。

 皆さんもこのページを読み進めていくうちに、こうした検閲にしか思えないような流れに対して疑問を感じるようになるかもしれない。かく言う私も、以前作ったホームページのアダルト・リンク集に対し、契約しているプロバイダーからメールで突然「ページを見直してはどうか」と暗に削除を要求されたことがある。それを拒んだとたん、プロバイダー側と親しい会員を使い、さらには職場の上司にまで連絡を入れて私に圧力をかけ、削除を承諾させられた。アダルト画像が1枚たりとも含まれないただのリンクページに対してである。このほかにも、プロバイダーにホームページを削除されたというユーザーの話は山のようにあり、前述の綱領は着実に実績(?)をあげているようだ。

 ここではさらにメーリングリストも用意されており、国内外のさまざまな検閲や規制などの報告や議論が行なわれている。興味を持った人は、こちらにも参加してはいかがだろうか。

 ただ、このページを読むのに、普段あまり見慣れない「抗議」や「反対」といった言葉に大きな違和感を覚えたことも確かだ。しかし、よく考えてみると他に置き換える言葉もなく、これに慣れるしかないのが少々つらいところだ。

 ところで、ここを訪れてから随分たってから分かったのだが、このページの作者は私が通う大学の教官だったりする。何だか非常に身近な話題のように思えてきた。

('97/6/24)

[Reported by dei@nsknet.or.jp]


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