【レビュー】
■URL
http://www.kids.recruit.co.jp/bmail/
本誌6月16日号でお伝えした新しいタイプのコミュニケーションソフト「ボトルメール」は編集部でも人気となっている。このソフトはリクルートがWWW上で公開しているシェアウェア(300円)だ。「メール」という名称がついているが、従来のメールソフトとは全く異なる機能とおもしろさをもっている。ここではこのソフトの魅力を紹介したい。
■いつだれに届くかわからない
「ボトルメール」はメールの宛先を指定できず、名前やメールアドレスを記入しないかぎり匿名で発信される。しかもいつ届くかわからない不思議なソフトだ。電子メールは指定した相手にすぐに届くのが特徴だが、「ボトルメール」はまったく逆の性質をもっている。まさに離れ小島から手紙をビンにいれてインターネットという海に流すイメージで、実用性よりもエンターテイメント性が高いソフトだろう。
■南海の孤島から流そう
起動すると海岸から沖を望む画面が現れる。時間帯によって昼間・夕方・夜の三種類が用意されている。絵はとてもきれいで、うち寄せる波が雰囲気を出している。夜は星座が動いたり流れ星が現れたりする。
また、数日間「ボトルメール」を起動しないと、次回起動時に海岸に空き缶が散乱する。編集部では、週末をはさんだ月曜日の朝一番に空き缶がちらばっていた。まめに起動すれば元のきれいな海岸に戻る。メールをやりとりするだけでなく、ユーザーを引きつけるしかけもおもしろい。
■絵を描く要領でメールを作成しよう
「ボトルメール」で流すメールは「絵」だ。メール作成は通常の電子メールとは全く異なっていて、「キーボード(テキスト入力)」、「14色のクレヨン」、「消しゴム」、「はさみ」のツールで行なう。ペイントソフトで作成しておいた画像をクリップボ
ード経由で貼り付けることもできる。複雑なメニュー操作がなく、「クレヨン」「消しゴム」などを使えば子供も利用できる。アドレスを書いておけば、子供あての返事をもらえるかもしれない。
編集部ではWatchのロゴを貼り付けたメールを作成してみた。絵や写真付きのメールを送れるのは楽しい。いつだれが拾ってくれるかわからないのだが。
前回のメールがスケッチブックに残っているとビンが画面に現れず、流すことができない。メールの中を何かしら更新したら、メールを流せた。
メールが完成したら、画面右上の「ビン」をクリックする。メールがスケッチブックから離れて丸まり、ビンに吸い込まれ、海に落ち、流れ去ってゆく。いつだれがこのメー
ルを拾うのだろうか…。
■ボトルが漂着!!
さて、メールを流してしばらくたった後、起動したとき波打ち際にビンが現れた。これが自分にメールが漂着したサインで、クリックするとメールが開く(長期間漂流したためまわりが黄ばんでいる!?)。拾ったメールはアルバムに収めよう。なお、メールを流した量に比例して拾える確率が上がっていくしくみなので、メールを流さないでいると一向にボトルが漂着しない。
編集部にもいくつかメールが漂着した。クレヨンによるイラスト(?)がほとんどだが、写真を貼り付けた凝った作りのものもあった。中にはメールアドレス記載のものもあり、さっそく届いた旨の返事を出した。ボトルメールで返事を出せばいつだれに届くかわからないので、通常の電子メールにした。ひょっとすると文通が始まるかもしれない(?)。
■夢をボトルに託そう
「ボトルメール」は、画面や機能はまったくメールソフトのものではない。これは新しいコミュニケーションソフトなのだ。発売元のリクルートがいうように、実用性は低いと思う。だが、起動しているときはメールが漂着しているかどうかわくわくするし、メールを拾って開いてみたときの驚きなど、実用よりも夢を与えてくれるソフトだろう。アイデア次第で新しい出会いが生まれるかもしれない。
また、壁紙として風景画を見ているだけでも心がなごむし、気が向いたら情報が行き交う電子の海にあてもなくメールを流してみるのもいいだろう。ただし、いたずらは御法度ですよ。
('97/6/30)
[Reported by yamagu-k@impress.co.jp]