【ニュース/レポート】



3次元仮想空間で、地域に密着したコミュニケーションも

国内初のCATVを使ったEC実証実験サービスが港北ニュータウンで開始

■URL
http://www.nttdata.co.jp/products_services/professional/public/ps/vnt/index.htm
l
/www/search/article/9703/0301.htm(参照URL)

 本誌3月3日号でお伝えした、日本初のCATVを利用した決済サービスの実験「バーチャルNタウン港北実証実験」が始動した。これは、住宅・都市整備公団や港北都市開発センターらが新しい街づくりを目的として行なう、'99年7月まで2年間の実験プロジェクトだ。横浜市都筑区の港北ニュータウン内のCATV(ケーブルネット「つづきの森」)を利用し、モニター1,000世帯、約3,500人を対象にして行なわれている。

 モニター宅には専用端末と1人1枚のICカードを配布。利用者は、CATVを通して「バーチャルNタウン」と呼ばれる仮想空間にアクセスし、分身キャラクター(アバター)を操作してショッピングやホームバンキング、掲示板を使ったコミュニケーションなどを楽しむことができる。なお、ICカードはクレジットカードなどの機能がついたものと個人認証を行なうだけの子供向けカードの2種類が用意されており、子供用のICカードでは買い物やホームバンキングなどは利用できないようになっている。

 仮想空間にアクセスするには、専用のカードリーダーにICカードを差し込み、暗証番号を入力して本人認証を行なう。そのため、おもしろいことに自分の顔そっくりのアバターで街を巡ることができるのだ。もちろん、他のアバターと音声を使った会話をすることもできる。

 現在仮想都市内には43店舗のショップがあり、買い物はインターネットでよく見られるような欲しい商品を選んでショッピングカートに入れていく方式だ。決済時には暗証番号を再度入力し、ショップによって決済方法は異なるが、クレジットカードやオンラインでの銀行振替、代引きなどの中からユーザーが選べるようになっている。

 インターネットと違い、地域が限定された仮想都市のため、「迷い犬を探しています」といった内容や、スーパーの安売り情報などのお知らせの効果は高い。地域に密着したコミュニケーションは、確かに新しいまちづくりに役立ちそうだ。

 なお、今回配られた端末はパソコンをベースにしたものだが、現在キーボードは使えない。操作はすべてゲーム機で使われるコントローラーを拡張したようなもので行なう。まずは操作に慣れてもらいたいという意向から、情報発信には制限をかけており、自宅からはできないようになっている。掲示板に登録したいなど情報発信をする際には、仲町台駅前にある「バーチャルNタウン工房」に出向かなければならない。多少パソコンに慣れている人にとっては不便のような気もするが、たとえば「この犬を探して欲しい」と写真を持っていけば、パソコンを使ったことがない人でも手伝ってもらいながら登録できるとのこと。これがパソコン体験の足がかかりにもなるかもしれない。

 ユーザーサポートには2日で約50件の問い合わせがあるという。操作のしかたも「コントローラーの上を押して…と言うと、コントローラーの真上から押さえて動かないと言う人もいる」とかなり大変な様子。実験はいったん2年間で終了するが、今回の実験で住居者ニーズを把握して、今後の街づくりに役立てていきたいとのことだ。

('97/7/3)

[Reported by junko@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp