【イベント】



ゲストに鮎川誠氏、Todd Rundgren氏が登場

音楽とインターネットを結ぶイベント「PPP Music &Internet Night」開催

■URL
http://www.rokkets.com/ (SHEENA & THE ROKKETS)
http://www.tr-i.com/ (Todd Rundgren)

 8月15日、音楽とインターネットを結ぶイベント「PPP Music &Internet Night」が開催された。主催はデジタルブティック社、協賛はアップルコンピューター株式会社。
 イベントは、ゲストとして、実際にインターネットを使って音楽を発信しているミュージシャンを招き、「音楽制作にインターネットはどうかかわっているか」「作った音楽の発表の場としてのインターネット」といったことをテーマにディスカッションするといったもの。司会にサエキけんぞう氏、ゲストには、SHEENA & THE ROKKETSのギタリスト鮎川誠氏と、米国からミュージシャンTodd Rundgren氏らが招かれた。
 



 鮎川誠氏は、自らホームページを作成しているほか、最近はパソコンを題材にした書籍「DOS/V ブルース」(発行元 幻冬舎)の出版などで話題になっている。また、8月5日にはインターネットライブを行なったり、ホームページ上で新曲を公開したりと、インターネットの利用に積極的なミュージシャンだ。
 イベントでは、ホームページ作りの苦労話や自宅でのアクセス環境などについて披露した。ホームページ作りに関しては、「Java Scriptを書くことができないので、気に入ったページがあったらそこから盗んでいる。気に入ったフレーズがあったらつい拝借してしまうロックと共通するものがある」と語り会場を沸かせた。また、自宅では28,800bpsのモデムを使って台所からアクセスしているとのこと。

 インターネット上で曲を公開することについてレコード会社から問題にされないかとの問いには「CDに比べ音質をかなり落としているので(それによって売り上げが落ちることはないので)問題は無いと思う」と語った。


 次に登場したTodd Rundgren氏は、約30年にも及ぶキャリアを持つミュージシャン。'70年代には名曲の数々を生み出し、また、プロデューサーとしての評価も高く日本にも熱狂的なファンが多い。最近では、「今後、新曲はインターネット上でしかリリースしない」と発表し話題になった。

 インターネットでしか新曲を発表しないことについて、Todd Rundgren氏は「音楽がビジネスとして成り立つようになってから、アーティストとリスナーの間に、レコード会社などいろいろなものが入りすぎた。また、それにより、曲ができてからレコードが出るまでの時間がかかりすぎるようになった。そこで、できた曲をすぐに直接リスナーに届けようと考えた結果、インターネットを使うことにした」と語った。また、インターネットを使ったほうがコストが削減できることもあげ、これからはレコード会社もインターネットを使った音楽配信を進めていくだろうと語った。

 なお、Todd Rundgren氏は自身のホームページをすべて自分の手で作成しており、「どんなプラットフォームでも使えること」に気を使っているとのこと。また、余談として、米Microsoft社のApple社株買収についてどう思うか聞かれたTodd Rundgren氏は「特に驚かなかった。やらざるを得ない決断だったと思う」と語った(Todd Rundgren氏はApple社創業以来のユーザー)。なお、最後は、ギター1本で往年の名曲「I saw the light」など3曲を歌いイベントを締めくくった。


 プロのミュージシャンがインターネットを使って音楽を発信するのは、実際にはレコード会社とのからみなどがあり難しい。Todd Rundgren氏の試みは、まだ実際には試験段階とのことだが、新しい音楽発信の形として注目されるものだ。また、こうした積極的にインターネットを使って発信しているとして紹介されたミュージシャン2人が、共に長いキャリアを誇るベテランであることも興味深い。
 
('97/8/16)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp