【特集】



情報の海に溺れるな! 検索サービス使いこなしテクニック集

 多数ある検索サービスのうち、ふだん何をお使いだろうか。どのサイトも様々な特徴をあげている。さらに各サイトを巡回検索できるメタページもあり、どれを使ったらよいか迷ってしまうこともしばしばだ。今回は編集部やその情報収集チームWatcherがふだん使っているサイトや検索のコツなどを紹介する。
 なお本稿では情報検索を行うWWWを「検索サービス」とし、一般にいわれる「検索エンジン」や「サーチエンジン」の名称は、ロボットによって収集しキーワード検索を主体としたサイト(「goo」など)について用いている。一方、カテゴリー分類からたどるサイト(「Yahoo!」など)は「ディレクトリ検索」とした。





探しものはこのサイトだ!

 国内の検索サービスでは「goo」と「Yahoo! Japan」が有名だが、他にもいくつかサービスがあり、それらをどう使ったらよいか悩むかもしれない。  
 編集部・Watcherでは「Yahoo! Japan」と「goo」の組み合わせが多い。各人ともまず知名度・カテゴリーなど「ある程度の確定要素」を想定できるか判断し、あると判断すれば「Yahoo!」にあたっているようだ。逆にアンダーグラウンド的ページや「見つかればラッキー」なページはいきなり「goo」というケースがほとんどだ。たとえていえば、「goo」は百科事典、「Yahoo!」は各分野の入門書といえるかもしれない。

■決まった項目なら「Yahoo!」「Yahoo! Japan」
http://www.yahoo.com/
http://www.yahoo.co.jp/
 「Yahoo!」はすでにブランド化している。老舗としての信頼度は高く、まずは「Yahoo!」でという人は多い。登録式検索サービスはスタッフの手によって登録されるために悪質なページは現れない。「Yahoo!」の検索結果に溺れてしまうことはあまりないだろう。
 会社名や製品情報、「テニス」、「オートバイ」など、項目としてはっきりしているものの検索はまず「Yahoo!」だ。業種などのカテゴリーから絞り込みやすい。また、人にぜひ見てほしいと思って作るページは積極的に登録してくるだろう。それを逆手にとれば、企業案内やショッピング可能サイトなどの検索には最適なはずだ。

■キーワード検索は「goo」が最強か
http://www.goo.ne.jp/
 国内のキーワード検索は「goo」で決まり、という人が多い。検索条件を多角的に設定でき、幅広く対応する。海外サイト検索についても「HotBot」との提携で対応している。「Yahoo!」と比較した場合、項目として確立していないものを検索するのに向いているといえる。ただし強力な検索力を誇るだけにヒット数も多く、どちらかというと「多くヒットさせてその中から探す」のに向いているかもしれない。海外サイト検索についても、「goo」のBoolean検索式をそのまま使えるので、文法を複数覚える必要がない。
 知りたい情報を百科事典的に引くという使い方もできるのが「goo」の魅力だ。専門的な学術情報からアンダーグラウンドな情報まで、「goo」だけである程度のものは得ることができるだろう。
 さらにコツとしては「goo」で探したページの中で目的の分野のリンク集を探し、そこを拠点に探すのも効率のよい方法だ。本当に役立つページは「その分野のリンク集」からたどると有効なことが多い。また良質なページには良質なリンクが貼られていることも多い。リンク集発見のために検索サービスを使っている人もいる。

■キーワード検索も項目ディレクトリもある「infoseek」
http://www.infoseek.co.jp/
 「goo」ではヒットしすぎる、という人には「infoseek」がおすすめ。登録式ディレクトリもあるので「Yahoo!」と「goo」の要素をあわせ持つ。無料でダウンロードでき、ブラウザに組み込める「Quickseek」ボタンも便利だ。まず「infoseek」から入り、絞れなければ「Yahoo!」へ、他にもありそうなら「goo」へと移る人もいる。

■海外サイトは「AltaVista」
http://altavista.digital.com/
 現在では世界最強の検索サービスとの声もある「AltaVista」。たしかに英語サイトの検索は高速でヒット数も多い。プルダウン式で言語を選ぶこともできる。しかし日本語については難があるようだ。日本語でキーワード設定はできず、"any language"検索による日本語サイトの結果表示についても文字化けを起こすことがある。

■解説がくわしい「Hole-in-One」
http://hole-in-one.com/
 探している項目がはっきりしている場合は「Hole-in-One」。「Yahoo! Japan」に比べると解説文がくわしいため、実際にページを見る前に取捨選択ができる。

■フローティングウィンドウ式メタ検索ページ「SuperSearch」
http://www.webscout.com/search/ss.html
 アクセスすると別ウィンドウが開き、プルダウンメニューから検索サービスを選べる。Web検索だけでなく、書名検索や伝記検索、辞書などもある。

■巡回検索ソフト「WebFerret」
http://www.ferretsoft.com/netferret/download.htm
 検索サービスサイトではないが、海外サイトの巡回検索ソフト「WebFerret」(フリーウェア。上記URLよりダウンロード可能)も便利だ。「AltaVista」「Excite」 「Lycos」「Magellan」「Open Text」「WebCrawler」の各検索サービスを巡回し、結果を一覧表示してくれる。選択したページをマウス操作だけでブラウザに表示できる。ただしキーワードを絞り込まないと、膨大な検索結果に。



編集部が伝授する検索ノウハウ

■キーワード検索は絞り込みが命
「goo」や「AltaVista」などのキーワード検索サービスは、単語ひとつだけで検索すると莫大なヒット数になってしまう。AND検索などを使ったり、キーワードそのものを工夫したりして、目的の情報に絞り込もう。
「goo」ではキーワードを空白で区切るとデフォルトでAND検索となる。ここではその例を見てみよう。

「中華料理の手軽なレシピを検索できるサイトを知りたい」
中華料理
9,885
中華料理 レシピ
557
中華料理 レシピ 検索
357
中華料理 レシピ 検索 手軽
10


「goo」にはさらにANDやORの指定を重ねる「Boolean検索」の機能もある。「検索設定」をプルダウンして「Boolean」を選ぼう。「Boolean検索式」の詳細は
「goo」の使い方のページ や、「検索デスク」 に書かれた「HotBot」の解説を参照のこと。

「Puffyの情報、およびふたりのソロ活動の情報を知りたい
(大貫亜美 OR 吉村由美) OR (Puffy OR パフィー)
4,228
大貫亜美
321
Puffy OR パフィー
3,970
大貫亜美 NOT (Puffy OR パフィー)
162
大貫亜美 OR 吉村由美
469
吉村由美
375
大貫亜美 AND 吉村由美
227
吉村由美 NOT (Puffy OR パフィー)
205
大貫亜美 AND 吉村由美 AND Puffy
111
(大貫亜美 AND 吉村由美) NOT (Puffy OR パフィー)
109
大貫亜美 AND 吉村由美 AND パフィー
22
(大貫亜美 OR 吉村由美) NOT (Puffy OR パフィー)
258
(大貫亜美 AND 吉村由美) AND (Puffy OR パフィー)
118


「AltaVista」では各キーワードの前に「+」や「-」をつけることで「~を含む」「~を含まない」という指定ができる。また「""」で囲んだ場合は語順を維持した「フレーズ検索」ができ、より絞り込める。

「メジャーリーグの野茂と伊良部の情報を知りたい」
Nomo
2,760
"Hideo Nomo"
723
+Nomo +MLB
115
+"Hideo Nomo" +MLB
67
+Nomo +MLB +Dodgers
47
+"Hideo Nomo" +MLB +Dodgers
32
Irabu
296
"Hideki Irabu"
152
+Irabu +MLB
41
+"Hideki Irabu" +MLB
15
Irabu +MLB +Yankees
152
+"Hideki Irabu" +MLB +Yankees
13


 検索をかける前には、まず「何を検索したいのか」整理しておこう。上記のように文にしてみる(書く必要はないが)のもいいだろう。その文中の単語を重要な順にAND検索をかける。また、納得のいくヒット数・内容になるまでキーワード入力欄に地道に単語を追加してAND検索をくり返す人もいる。
 なお、「AltaVista」では絞り込みのヒントになる関連トピックをリスト・グラフの両形式で表示でき、関連トピックごとに「含む」「除外」を指定して再検索する機能も用意されている。ところが関連トピックが「Yahoo!」のようなツリー構造になるとは限らないのでかえって混乱してしまい、あまりいい結果が得られなかった。細かなキーワードを設定してAND検索をしたほうがいいように思える。

■会社・団体・学校など、サーバーが特定できるときは「goo」のサーバー・ロケーション指定  
 「goo」には「検索先設定(サーバー・ロケーション設定)」があり、「追加機能」の下のメニューから地域やドメインを指定して検索できる(日本以外を指定する時は、「検索設定」を「海外のサイト」にしておく)。
"Mars Pathfinder"をNASAのドメインnasa.govを指定して検索
685
"Mars Pathfinder"を海外のサイトから検索(検索先指定なし)
3,764
「早稲田 AND スポーツ」をドメインwaseda.ac.jpを指定して検索
49
「早稲田 AND スポーツ」を日本語のサイトから検索(検索先指定なし)
2,265


■カタカナ外来語や外国語に多い、キーワード表記の「ゆらぎ」に注意しよう
 「コンピュータ」や「コンピューター」などのカタカナ外来語表記に多い音引きの有無や音便、発音の表記、正式名称の誤表記など、サイト別に表記が微妙に異なる場合もあるので、キーワード設定を工夫しよう

・最小公倍数的表記を利用
「ブラウザ」と「ブラウザー」は「ブラウザ」で
ブラウザ
92,115
ブラウザー
14,786
 コンピュータ用語に多い、はずせる音引き(ー)ははずして検索しよう。

・フレーズ内の空白有無
"Windows 95"
2,679
Windows95
99,142
Windows AND 95
125,238
 この例ではAND検索をしないと空白ありの「Windows 95」をもらしてしまうことになる(正式表記は「Windows95」)。

・省略語は正式名称とOR検索
プリクラ
5,073
プリクラ OR プリント倶楽部
5,459
念のため下記も試してみた
プリクラ OR プリント倶楽部 OR プリントクラブ
5,650
 省略語のほうが有名でも(デジカメとデジタルカメラなど)正式名称とOR検索をしよう。

・想定されるすべての表記のOR検索(カタカナ外来語など)
「インターフェース」「インターフェイス」「インタフェース」「インタフェイス」
インターフェース
23,702
インターフェイス
15,446
インタフェース
28,234
インタフェイス
1,375
すべてのOR検索
38,854
 「interface」の日本語表記を拾うとしたら、すべてのOR検索が必要だろう。

・フレーズ検索(""で囲む)を活用しよう
"Major League Baseball"
589
Major League Baseball
1,055
Major AND League AND Baseball
1,055
 「goo」をはじめとしたいくつかのサイトでは、空白を含むフレーズは""で囲まないとAND検索になる。正確な検索を目指すにはフレーズ検索を活用したい。



自分に最適な検索サービスを見つけよう

 各検索サービスにはそれぞれの特徴があり、使い勝手や性能等を比較しているサイトもいくつかあるのでぜひ参照されたい。「EasySEARCH」には利用者自身がキーワードを入力して各検索サービスの検索数を比較できるページがあり、自分にあった検索サービス発見に役立つかもしれない。また浅井勇夫氏による「検索デスク」は、検索サービスを語るときに欠かせないページだ。
 現在では「これひとつだけでOK」といえる検索サービスはまだ存在しない。利用者が検索用途によっていくつかの検索サービスの使い分けや組み合わせが必要と思われる。だが、さまざまな検索サービスが競い合って使い勝手や性能を向上させていくことが、情報メディアとしてのインターネットをより充実したものにするだろう。

■検索デスク
http://www.bekkoame.or.jp/~asaisan/
検索サービスの評価ページとしては最強。独自の評価ポイント「検索力」を軸に、多角的に国内外の検索サービスを評価する。適宜更新される小論文「検索の視点」は必読。

■EasySEARCH
http://www.nibh.go.jp/EasySEARCH/
利用者自身が「定点観測」できるEasySearch SCOPEがある。各利用者に最適な検索サービスを選ぶ参考になるだろう。「トレンド&トピックス」は最新情報や動向がつかめる

■Chase SEARCH
http://www.threeweb.ad.jp/~haibala/ff/chase.shtml
独自の分類と評価ポイントによって、各主要検索サービスをグラフィカルに表示。

■Nueva Library Research Goal-Choose the best engine for your purpose
http://www.nueva.pvt.k12.ca.us/~debbie/library/research/adviceengine.html
目的別に検索サービスを解説しているページ。論文執筆など研究指向。

■Search Engine Watch
http://www.searchenginewatch.com/
アメリカの検索サービスに関するさまざまな情報を収録したページ。検索サービスについてのコンサルティングサービスやメールによるレポートもある。

('97/9/8)
[Reported by yamagu-k@impress.co.jp / Watchers]



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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp