【法律/盗聴】
■URL
http://www.nichibenren.or.jp/sengen/sokai/1997/1997t2.htm
(日弁連の声明)
http://pweb.pa.aix.or.jp/~ilc/frame/kaigisitu/kaigisituf.html(インターネット弁護士協議会の盗聴法に関する議論)
法務省は、組織的な犯罪に対する捜査を強化する狙いで、電話や電子メールなどの通信の傍受を可能とするものも含めた「組織的な犯罪に対処するための刑事法案(仮称)」を今国会に提出する。
この法案は、組織犯罪に対し、刑の加重や証人の保護を定めているほか、通信の傍受も認めるものとなっている。通信の傍受に関しては、一定の罪の捜査に関し、裁判官の発する令状により、検察官や警察官に電話やその他電気通信の傍受を可能にする。さらに通信事業者等に、機器の接続や通信相手方を特定するための協力義務を課するものになっている。法務省では「今回の法案は、個人を対象としたものではなく、『一定の罪』に関しても重犯罪に限る」としている。
これに対し、第二東京弁護士会は10月3日、「盗聴法を考える」シンポジウムを開き、この法案の問題点を訴えた。この中で法案が、本質的に憲法21条2項「通信の秘密」や同13条「個人のプライバシー」を侵害するものだとし、また盗聴が不特定多数の通信をも対象にすることから「捜索する場所及び押収するものを明示する」「各別の令状」を要求する同35条に反するとしている。
さらに、盗聴できる会話について、「単に犯罪の実行に関わる会話だけでなく、犯罪の実行に関連するものも含む」としていることから、盗聴可能の範囲が際限なくなる可能性があり、また電子メールについては、傍受の対象とならないものまで、瞬時に大量に傍受できるため、電話以上に権利侵害が高くなる可能性があるとしている。そして、電子メールやパソコン通信については、これらの技術が確立途上であることから、今回の法案から外し、十分な議論を尽くすことを要望している。
法務省では、今国会への提出に向けて条文案の最終検討をしているが、国会審議において慎重な論議がなされることを期待する。
('97/10/8)
[Reported by kikuchi@impress.co.jp]