【イチオシ】


第57回レポーター: 古川泰弘氏

難しい事件も分かりやすく解説
毎日新聞の「インターネット事件を追う」

■URL
http://www.mainichi.co.jp/hensyuu/jiken/

 インターネットでは、とかくセキュリティが話題になる。でも暗号のアルゴリズム、法的な問題などが絡んで難しい。どうして自分のマシンの安全性を高めるのに、そこまで知らなきゃいけないんだ、と思ったことはないだろうか。こうした疑問について、私は「安全を知る近道は、最近の事件を知る」という単純な結論に行きついた。

 そして、そうした情報を得るには、毎日新聞社のホームページにある「インターネット事件を追う」がオススメだ。セキュリティ技術や製品の意味がよく理解できない人でも、取っかかりが割と身近な事件なので読み進めるうちに分かってくるはずだ。なぜイチオシなのかというと、3つの理由があるからだ。

 まず、ここにある情報はホームページでしか読めない。新聞の紙面にはない独自の情報がここにあるのだ。大きな事件の陰に隠れることなく、様々なコンピュータ犯罪の情報が揃っている。

 次に、そうしたインターネット絡みの事件の「経過」を知ることができるところ。インターネットの場合、URLさえ知っていれば、あとは自分で直接その情報源に辿りつくことができる。しかし、そのサイトがクラッキングでダウンしていたり、情報源となるはずの情報提供者が容疑者として逮捕されていたりすると、結局その情報にはアクセスできない羽目になる。それに対しこのページには、裁判の経過が専門家の指摘付きで掲載されている。ここでの情報は、真面目にインターネット・ビジネスに取り組んでいる方にとっても参考になるはずだ。

 また、人の手が加わって、複雑な事件の経緯などが整理されているのもうれしい。各新聞社が過去の新聞記事をデータベースを使って検索できるようになりつつあるが、やはり人間が抽出した情報は検索エンジンとはひと味違う。京都で行なわれているFLMASK裁判をはじめとする様々な事件をそれぞれ比較してみると、インターネットの動きがおぼろげながらも見えてきそうだ。

 スピードの威力が発揮されるインターネットの世界では、とかくデータベースを充実させることが重要だと考えられがちだ。しかし、作り手が努力することによって、もっと面白く、有益な情報を提供できるのだということを、このページが暗示しているようにも思える。

('97/10/14)

[Reported by x2600@can.bekkoame.or.jp]

■編集部注
http://www.mainichi.co.jp/net/
 毎日新聞社では、10月17日午前11時30分から2時間にわたり、インターネット上でリアルタイム会議を開催する予定。「情報規制」をテーマに、業界著名人がパネリストとして参加する。一般からの質問もメール( jiken@mainichi.co.jp )で受付けている。


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