ソフトウェア企業などが組織、運営している、コンピュータソフトウェア業界の公益団体である社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(パソ協)は、現在検討中の法的規制による著作権の集中管理について、近日中に文化庁に意見書を提出すると発表した。
文化庁の諮問機関である「著作権審議会」の専門部会は、現在検討している、多数の著作者の著作権を預かって利用者に許諾を与え使用料を徴収する「著作権集中管理制度」について、著作権に関わる業界団体に対してアンケートを実施。それを受けて、パソ協側が音楽などだけでなく、写真や動画などにまで法的規制がおよぶのではないかという懸念を抱き、問題定義をしておきたいとして、意見書を提出することにしたもの。24日までには提出する方針だ。
パソ協では「著作権を集中管理するのに法的規制は必要ない」として、著作権集中管理の法的規制の問題点を示すとともに、反対を呼びかける。集中管理を行なうことそのものに対して反対はしていない。法的規制が必要ない理由として、以下の4点をあげている。
1:利用料金を法的規制することにより、自由なコンテンツ(著作物)の流通や利用
を妨げることになる。
現状例:JASRACの使用料改定の柔軟性に問題がある
2:日本だけが特異な著作権集中管理のための「法的規制」を行なえば、コンテンツ
発信地としての市場空洞化をもたらす危険性がある。
現状例:JASRACによる権利行使の可能性を回避するため、サーバーを国外に設置
する企業が増えている
3:現行法は、昭和14年制定の仲介業務法に基づくもので、制定当時の時代背景や
目的が現在とは大きく違う。
4:著作権の集中管理を実現するには、著作権権利情報の収集・整理も行なうことに
なるので、莫大な時間や労力、予算が必要になり、最終的には利用者の負担となる
のではないか。
なお、文化庁によれば、「集中管理制度については、まだ現状把握を行なっている段階。そのため、どうあるのがよいのかアンケート調査を行なった。まだ意見書を受け取っていないので、内容はわからない」としている。
('97/10/21)
[Reported by junko@impress.co.jp]