【業界動向】

ドメイン名と商標に関する調停機関「ACP」の概要について発表

JPNICが講演会「インターネットドメイン名システムの新しい展開」開催

■URL
http://www.iahc.org/gTLD-MoU.html (gTLD MoU)
http://www.nic.ad.jp/index-j.html (JPNIC)

 11月7日社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、暫定ポリシー管理委員会(iPOC)、世界知的所有権機関(WIPO)、登録組織協議会(CORE)らのメンバーを招き「インターネットドメイン名システムの新しい展開」と題した講演会を開催した。講演会では、主に新しく割り振られる国際的なトップレベルドメイン名「gTLD(Generic Top Level Domain)」に関わる機関の概要やルールについて紹介された。

 gTLDは、国際臨時特別委員会(IAHC)が'97年2月に提唱した新しいトップレベルドメインのルールで、「.firm」(企業)「.store」(小売り)「.nom」(個人)など属性に基づいた7種類のドメイン名がある。'97年4月には、gTLDのドメイン名管理システムに関する覚書「gTLD-MoU」についてWIPOや国際電気通信連合(ITU)などの組織が承認・署名している(本誌'97年4月11日号参照)。さらに、5月には米Digital Equipment社、仏France Telecom社、JPNIC、WIDEプロジェクトなどが加わり合計で世界中の80もの組織が承認・署名しており(本誌'97年5月7日号参照)、'98年第1四半期からの運用が予定されている。

 gTLDについては、現在「.com」ドメインを管理しているInterNICから、投機目的のドメイン取得といった行為の温床になるのではないかといった批判が向けられているが(本誌'97年11月6日号参照)、IAHCではこうした問題に対して「ドメイン名異議申立委員会(ACP)」を設けた。

 gTLDのドメイン名割り当ては基本的に先着順が原則だが、gTLD-MoUには「国際的に周知であるとみなされ、論証できる知的所有権が存在する英数字の文字列と同一または非常に類似している第2レベルドメイン名は、その知的所有権保有者のみが、あるいはその権限とともにその知的所有権保有者が、所有し使用し得る」との記載がある。つまり、知的所有権の対立によるドメイン名取り消しは例外としてありうるとしている。

 ACPでは、ドメイン名保有者に対し知的所有権所有者からの異議申し立てに対し検証を行ない、結果によっては登録ドメイン名の除外/移行/変更について決定する。検証にあたっては、国または政府間機関当局より与えられた知的所有権登録証書などの証拠の存在や知的所有権を地理的に広範囲に渡って保持しているかといったことを基に検討される。また、知的所有権を主張するものは、事前にドメイン名の除外をACPに請願できる。当該する権利主張の根拠となる証拠を提出する必要があるが、これにより正当に知的所有権を所有すると認められた者は第三者によってドメイン名を取得されるのを事前に防ぐことができる。なお、ACPはまったく中立的な立場の人物3名によって構成されるとのこと。

 講演でWIPOのAlbert Tramposch氏は、「ドメインシステムはローカルではありえない話。gTLDは真にグローバルな空間で扱われるもので、各国の法や規制でしばられることがあってはいけない」と語っている。

('97/11/7)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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