第64回レポーター: 北條リエ氏
■URL
http://www.luminarie.com/
神戸の三宮周辺で12月12日~25日まで開催される「ルミナリエ」をご存知だろうか。このイベントは、震災後の神戸の復興、再生の希望を託して'95年から始まったもので、今年で3回目になる。
毎年12月が近くなると、関西のJR線や阪神間を走る私鉄駅には、ルミナリエの宣伝ポスターが貼り出され、友人らの間でも、何曜日が空いているか、夜の何時頃がいいか、などが話題になる。神戸の冬の風物詩としてすっかり定着しているようだ。
今回ご紹介する「ルミナリエ」のホームページによると、ルミナリエとはイタリア語で「祝祭のためのイルミネーション」という意味だとか。さまざまなデザインの木製のアーチに、色とりどりの28万個の電球を使った光の彫刻芸術が見られるこのイベントは、イタリア人のアーティスト、ヴァレリオ・フェスティ氏の監修で、作品やスタッフともにイタリアからやってくる。
さて、トップページにアクセスすると、遠くから見たルミナリエの風景画像が見られる。この作品はメイン会場の旧外国人居留地に設置されるもので、タイトルは「光の回廊」。光のレース模様が暗闇にくっきりと浮かびあがっており、とても綺麗だ。「ルミナリエ」がどんなイベントか知らない人は、ホームページ中の「過去のルミナリエの様子」を見てみることをおすすめする。'95年のイベントの模様は画像のみだが、'96年のイベントの模様は、QuickTime VRで見られるようになっている。QuickTime VRでは、ひとつひとつのアーチが、かなり巨大なもので、イルミネーションの光にしては、まぶしいほど明るく光っているのが実感できるだろう。にぎわう街の画像を拡大・縮小するなどすれば、臨場感も味わえる。また、音楽による演出も行なわれており、ホームページには、去年のサウンドデータが会場別に収録されている。
このイベントによって、経済的にも予想をはるかに上回る波及効果があったようだ。'95年の閉幕直後から、復興が遅れていた観光産業をはじめ、経済界や市民から継続開催を求める強い声が寄せられたという。会場も、去年よりハーバーランドと北野が増え、テレビでも中継されるなどして全国的にも広くに知られるようになった。これら会場の3カ所は、神戸の洗練された、お洒落なイメージと合致するが、実は震災当時、大変な被害を受けた場所でもある。旧居留地はもともと古い街で、建物の多くが倒壊、大丸百貨店、中央郵便局、市役所などは再開されるまで長い月日がかかった。北野では観光客向けに公開されている古い洋館が倒壊し、「風見鶏の館」などはようやく公開されたばかりだ。
もし、ルミナリエに出かけることがあれば、ぜひ、ホームページを開いてから、行くことをおすすめする。行けない人は、ぜひホームページで楽しんでみてほしい。震災の記憶は決して忘れることなく、しかし明るく、元気な街を感じることができるだろう。
('97/12/02)
[Reported by SGL02522@niftyserve.or.jp]