ワシントン連邦地方裁判所は11日、Microsoft社がWindowsとInternet Explorerの抱き合わせをパソコンメーカーに強要するのは反トラスト法に違反すると判断、同社に抱き合わせ販売の停止を暫定的に命じた(本誌10月22日号参照)。ただし、同社が違反を続けた場合に1日100万ドルの罰金を支払うことについては、司法省側の主張は認められなかった。同地裁では、今後も引き続き審理を続け、来年6月を目処に判決を下すとしている。
司法省のクライン反トラスト局長は「どのWWWブラウザーを選ぶかについて、市場での選択肢が広がることになる」とこの暫定命令を歓迎。今後もパソコンメーカー側の証言などを積み重ね、立証作業をさらに補強する方針だ。
また、ライバルであるNetscape Communications社も「公平な土俵で顧客に選択の自由を与える重要な一歩」とこれを歓迎する声明を発表。ロバータ・カッツ上級副社長は「裁判所が競争的で開放された市場を維持することの重要性で合意したことを喜んでいる」「これは顧客の選択を保証するという点で消費者の勝利だ」と語った。
一方のMicrosoftは、来年リリースされる予定の次期OS、Windows 98では、OSの一部としてInternet Explorerを組み込む予定だ。6月の地裁判決がWindows 98を含むものになるかについては今のところ微妙で、もし含まないとすれば、同社はいち早くWindows 98をリリースし、今回の司法省による訴えを形骸化させる法廷戦略をとることも可能だ。
これまでWindowsによるOS市場の独占状態をうまく利用し、インターネット市場での競争を優位に進めてきたMicrosoftだが、今回の判決は同社にとっては大きな痛手となる可能性を秘めている。
('97/12/12)
[Reported by yuno@impress.co.jp / 永田順伸 / 金丸雄一]