【イベント】
「Internet Week'97」最終日レポート
「Japan WWW Conference'97」でMicrosoft社、Sun社、Netscape社が顔合わせ
■URL
http://web.nic.ad.jp/iw97/ (Internet Week'97)
http://www.iaj.or.jp/w3conf-japan/97/index-j.html (Japan World Wide Web Conference '97)
12月16日から19日まで開催された「Internet Week'97」。ここでは、最終日に実施された主なコンファレンスのうち、「DOMAIN OFFLINE MEETING BOF」と「Japan WWW Conference'97」の模様を紹介したい。
■教育ドメイン名の必要性が問われた「DOMAIN OFFLINE MEETING BOF」
「DOMAIN OFFLINE MEETING BOF」は、日本インターネット技術計画委員会(JEPG/IP)と社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の主催により、JPドメイン名のありかたや運用について、JPNICや一般ユーザーが発表や議論を行なう会合。テーマは、「教育用ドメイン名の現状」と「個人用ドメイン」の2本立てで、会場にはJPNICが主催するメーリングリスト「Domain-Talk」を中心とする参加者が集まった。
特に教育用ドメインをテーマにした会合では、京都の京田辺市教育委員会の中島唯介氏、川崎市立川崎総合科学高等学校の宮澤賀津雄氏によるプレゼンテーションで興味深い話が聞けた。実際にインターネットを導入しようとする教育現場では、「どこが管理するのか」「お金はどうするのか」といった面が最大の問題となっており、文部省/郵政省が進めている教育機関へのインターネット導入計画などという行政の動きと教育現場での明らかに認識の違いがあるとのこと。また、教職者に対して実施したアンケートの結果では、小学生のローマ字識別能力が問題とされたり、運用の困難さなどがあげられ、実際に教育用ドメイン名の必要があるのかといった根本的な面についても再考が必要となりそうとのこと。
ほか、個人ドメインについては、運用を商用プロバイダーにまかせた場合、文字列選択の自由や永続的な運用の保証といったことが問題になりそうだ。
■渦中の3社が顔を合わせた「Japan WWW Conference'97」
「Japan WWW Conference'97」(日本インターネット協会、WWWコンソーシアム主催)では、米国のSunMicrosystems社、Netscape社、Microsoft社の3社の開発者が顔を合わせるという興味深いセッションが開催された。
3企業から出席したのは、Sun Microsystems社の樋浦秀樹氏(「Java OS」などのアーキテクチャーの設計を担当)、Netscape Communication社の桃井勝彦氏(国際化部門宣教担当)、Microsoft社から鈴木孝雄氏(IE4.0やOutlookに組み込まれるHTML表示用コンポーネントの開発担当)。それぞれ米国本社に勤務する日本人社員だ。Microsoft社は、Netscape社とはWWWブラウザーのシェア争い、SunMicrosystemst社とはJavaに関する争いの渦中にあり、このセッションではどのような議論が展開されるのかと注目を集めた。なお、議論は「WWW国際化の未来」というテーマのもとに展開された。
「WWWの国際化とは?」といった質問について、SunMicrosystems社の樋浦氏は、それぞれの言語を最適に表示できることが大切と語り、それを「オムニリンガル」と称した。また、「Unicode」を推奨する同氏は、新バージョン(Unicode3.0)では、従来問題のあった漢字表示などの問題を解決する予定だと語った。また、Netscape社の桃井氏は、「WebコンテンツをUnicodeで統一」「フォントがクライアント側になくても正確に表示できること」などと具体的な例を挙げた。Microsoft社の鈴木氏は、言語により表示できない文字をなんとかするのも国際化の一部分とし、例として日本語の「ルビ」や縦書きに対応することを挙げた。
日本語のルビについては、樋浦氏の「コンテンツの作成段階で入れるか、すでにできているコンテンツにルビをふる機能が必要」との発言に対し、Microsoft社の鈴木氏は「それは”スタイルシート”で解決できる」と語り、会場を沸かせた。また、各ブラウザーの日本語表示能力について鈴木氏は「たとえば行頭に句読点がくるようなことはIE4.0ではない、もう一方の大手ブラウザーではあるかもしれないが」との発言に対し、桃井氏が「IEにもフォントサイズの指定方法などおかしいと思う部分もあるが、(日本語表示で)互換性を持たせるため妥協している」とやり返す場面も見られた。
講演のまとめとしては「各言語を正確に表示でき、そのために特別な設定をする必要がない」点が特にWWWブラウザーに必要ことで、そのために、Unicodeの採用が考えられるといったものだった。しかし、国際的な標準化に対して賛否両論があるUnicodeに対して、出席者の中に積極的に「否」を唱えるものがいなかったことが物足りない部分でもあった。また、会場から「なぜPDFが取り上げられないのか」といった意見や「HTMLはシンプルなままでいいのではないか」といった意見が出るなど、WWWの国際化については、まだこれから議論される余地が多くありそうだ。
('97/12/19)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]
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