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マイクロソフト株式会社は、2月3日、次期OS「Windows 98」に関して記者を対象とした技術説明会を開催した。説明会は、2月5日から開始する一般ユーザーにベータ版を配布するプログラム「Windows 98 Preview Program」に先駆けて行なわれ、「Windows 98 日本語版」のデモなどが行なわれた。なお、「Windows 98 日本語版」の出荷は従来からの発表通り'98年の夏頃を予定している。
説明会は、各Windows製品の説明から始まった。「Windows 95」をホームユーザー向け、「Windows NT」をビジネスユーザー向けと位置付け、Windows 95の後継にあたるWindows 98について「使い易さ」を前面に打ち出し、家庭の一般ユーザー向けのOSであることを強調した。同社では、「現在(Windows)95が動いているパソコンなら動かせることを基本としている」として、インストールがスムーズにできることや従来からある資産をそのまま活かせるといった利便性を強調した。
Windows 98の特長としては、パフォーマンスの向上やUSB(Universal Serial Bus)によるハードウェアサポートなどが上げられている。デモでは、Windows 95とWindows 98をインストールした同条件のパソコン2台を使って、画像レタッチソフト「PhotoShop」の起動時間でどのくらいの違いがでるかを見せた。結果は、Windows 98の方が5秒ほど早く起動した。こういったアプリケーション起動の高速化は、ユーザーのアプリケーション利用頻度を自動的にログ化したり、デフラグがそれらの情報を元にクラスタ配置を最適化することによって可能になったとのこと。ほかには、ジョイスティックを使ったUSBによる接続のデモや複数ディスプレイのサポートなどのデモが行なわれた。なお、英語版に搭載予定の、パソコン上でテレビ信号を受信する機能「TV Viewer」は、日本語版にはベータ、正式版ともに当初搭載されない。同社によると時期は未定だがコンテンツ提供企業などとの調整の上、実現させたいとのことだ。
そして、もう一つの特長としてWWWブラウザー「Internet Explorer(IE)」との統合が上げられる。シェルが統合され、ローカルなハードディスクの情報からWWW上の情報まで同じインターフェイスで参照することができるというものだ。現在、米Microsoft社は、Windows 95へのIEバンドルをパソコンメーカーに要求していたことが独占禁止法に抵触する行為だとして米司法省から提訴されている。裁判は継続される見込みで、Windows 98におけるOSとWWWブラウザー統合についても同様の件で問われた場合、製品リリース時期や製品形態に影響を及ぼす可能性があると見られている。今回の説明会でも「最悪の場合、IEを外してWindows 98をリリースする可能性はあるのか」といった質問が投げかけられた。それに対し同社では、「IEを統合して出荷する予定だが、それ以上については現時点では答えられない」と語った。また、一連の争いについては「(Windows 95の話であり)Windows 98に影響を与えるものではない」とした。
Windows 98は実際にデモを見たところ、一見インターフェイスや基本操作に大きな変更はなく、新OSというよりはWindows 95のグレードアップ版といった印象であった。また、IEとの統合による機能の紹介などは控えめなものであった。全体的なパフォーマンスの向上は歓迎すべきことだが、OSとWWWブラウザーの統合は、他のWWWブラウザー選択の幅を狭めるものとも考えられ、一般ユーザーの間でも評価が分かれそうだ。
('98/2/3)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]