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「必要は発明の母」という言葉がある。例えば古代中国では、安価でかさばらない記録媒体として、蔡倫が紙を改良し発明した。発明の中には、元々は戦争の道具として発明されたという、物騒なものも多い。
この必要を、「人類の平和、地球の平和、さらに宇宙の平和」という究極の点まで拡張したらどうなるかという発明を紹介するのが、この「特許英雄列伝」だ。特許庁が公開している「特許広報」を、原文のまま掲載している。ここで掲げられている「英雄」達はこの究極の目標に向かって、日夜試行錯誤を繰り返しているだろう。
発明を少し見てみると、例えば「宇宙を製造する方法」というものがある。宇宙の始まりといえば、ホーキングなどが長年にわたって研究している事柄である。ホーキングは非常に難解な物理学を用いてこの問題に挑み、ローマ法王に「宇宙は神が造ったのだから、研究してはいかん」といわれたという話もある。ところがこの発明では、今の宇宙がどのようにしてできたかを問うているのではない。自分で宇宙を造ってしまうのである。つまり、自分自身が創造主になってしまうのである。私にはこの製造法は理解しがたいが、もしかしたら実現できる人がいるのかもしれない。そうすれば、その人は神になれる。
他には、現代の物理法則をくつがえすような、無からエネルギーを取り出す永久機関や、仮想粒子を用いた発明などがある。この手の発明は、1世紀以上にわたってなされているが、どこかに問題が生じてうまくいかない。この発明がうまくいった場合、地球の環境問題もいっぺんに解決してしまうだろう。物理学は大きな変化をする必要が出てきてしまう。
このようにとてつもない発明が並ぶ「特許編」の他に、「実用新案編」というコーナーがある。こちらは「平和」目的のものではないが、やはりすごい発明がある。「バレーボール反射神経特訓機」である。これは「巨人の星」の大リーグ養成ギプスも真っ青という、選手育成の訓練用具である。最高で1秒間に2発以上、球速200km/h前後のスパイクを打ち込ませて、人間の内に眠っている超能力的反射神経を早期に発育させるという機具である。トップレベルのテニスプレーヤーのサーブで、200km/h程度の球が打ち込まれるというが、それよりずっと大きいバレーボールで200km/hの球となると、想像が難しい。これを打ち返せるとしたら、本当に「魔女」だろう。
特許や実用新案では、使用者は発明の使用料を支払う必要がある。ここで挙げられた発明では、その収入は無理だろう。だが、数多くの発明の中から、本当に役立つ発明がそのうちに出てくるかも知れない。本当に平和のために役立つ発明が生まれる事を期待する。
('98/2/24)
[Reported by tatekawa@planet.club.or.jp]