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【業界動向】

受信者の回線速度に応じて動画データを増減
KDDが階層型ビデオマルチキャスト技術を開発

 国際電信電話株式会社(KDD)は、受信者の回線速度やパソコンの処理能力に応じて動画データを増減できるビデオマルチキャスト技術を開発した。

 従来のマルチキャスト技術では、すべての受信者に対して同じデータを伝送するため、受信者の回線速度などに個別に対応することができない。そのため、専用線でアクセスしている受信者に合わせて動画データを配信すると、アナログモデムで接続している受信者にはデータ量が多すぎて正常に再生できない、またその逆では専用線ユーザーにも低画質のデータが配信されてしまうといった問題があった。

 今回KDDが開発した「階層型ビデオマルチキャスト技術」では、MPEG1動画データを6つの階層に分け、それぞれ個別のストリームとして伝送。受信するパソコンで分割された階層を統合し再生する。各階層はそれぞれ約70kbits/秒のストリームとなっており、受信者がどの階層まで受信するか選ぶことで、画質を6段階から選択できる。最低階層で2フレーム/秒の粗い画像、全階層受信すれば30フレーム/秒の精細画質での表示が可能だ。また、データは階層ごとに個別のマルチキャストストリームとなっているので、回線の中継点でもストリーム単位でデータを中継するかどうか制御することが可能。プロバイダーなどがユーザーの回線速度に合わせて階層を減らすことにより、無駄なデータによるトラフィックの増加を防ぐことができる。

 KDDでは、インターネット放送、多地点テレビ会議など、複数の受信者へ動画データを配信するソフトにこの技術を利用すれば、同じ回線でも伝送可能な動画数を増やすことができ、動画データの伝送効率を改善できるとしている。

('98/4/6)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp