電子取引を普及させるには、データ作成者の同一性及び内容が改変されていないことを証明するための制度の整備が必要――法務省の小委員会である「電子取引法制に関する研究会」は報告書を提出した。
研究会では、まず、オープンなネットワークでは「なりすまし」や「改変」が容易であることを指摘。この問題に対応するため公開鍵暗号方式を用いた「電子認証」技術が実用化されていることを挙げ、商業登記制度および公証人制度を管轄する法務省でも電子的なデータ交換を安全に行なえる手段を提供することを検討しなくてはならないと提言している。
検討すべき制度として挙げられているのは、(1)商業登記制度に基礎を置く電子認証制度、(2)公証制度に基礎を置く電子公証制度、(3)電子署名に関する法的整備、の3点。(1)は登記簿謄抄本や印鑑証明書に相当するものを提供する仕組みを、(2)は契約における公証人に相当する機能を提供することを提案。また、(3)として、電子署名に法的効力を持たせるための法整備を提案している。
法務省ではこれを受け、2,001年をめどに制度(システム)面を検討。また、法整備については現行法でカバーできるかどうかも含め、状況を見て随時検討していくとコメントしている。
('98/4/14)
[Reported by masaka@impress.co.jp]