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http://www.microsoft.com/corpinfo/press/1998/May98/StayGrantpr.htm
米ワシントン連邦高裁は12日、Microsoft社の次期OS「Windows 98」について、Internet Explorerを搭載したままの発売が可能とする決定を下し、独占禁止法違反とする司法省の訴えを退けた。同社が同日明らかにした。
今回の高裁決定は米司法省やニューヨーク、カリフォルニアなど各州が準備を進めている同社に対する新たな独禁法提訴にも影響を及ぼすとみられ、司法省側には大きな痛手となりそうだ。
司法省は、同社がパソコンメーカーに対し「Windows 95」とInternet Explorerの抱き合わせ販売を強要したとして昨年10月、独占禁止法違反の疑いで提訴するなど同社を追及してきた。
ワシントン連邦地裁は先の仮処分決定で、同社に対しWindows 95にInternet Explorer搭載版と非搭載版を用意し、メーカー側に選ばせるよう命じた。
同社はWindows 98にもこの仮処分の効力が及べば、発売(6月25日)が遅れるとして、パソコン業界関係者と共にWindows 98の予定通りの発売を主張する宣伝活動を強めていた。
同社の広報担当者は決定を評価、「Windows 98は予定通りの今月15日の(パソコンメーカー向け)出荷が可能になる」との見通しを示した。
司法省当局者は「決定文を見ていないので、すぐにはコメントできない」と述べた。
こうした決定を下した理由について米ワシントン連邦高裁は「Windows 98の流通を阻止する解釈を下した場合、判事や陪審員がコンピュータ設計に関し判断するという歓迎されざる立場に自らを置くことになりかねない」と指摘、パソコン技術の進歩を阻害する決定を政治判断で避けたとも受け止められる理由を示している。
また同高裁は争点になったWindows 98が一体不可分な製品であるか否かについて「当局側は不可分ではないとの証拠を一切示していない」と指摘した。
司法省による独禁法違反訴訟には法律上の根拠あったとしても、連邦地裁にInternet Explorer非搭載版と搭載版両方の出荷を命じることがWWWブラウザーメーカー間の競争促進にどれだけ役立つかには大きな疑問が残る。
司法省は、実際にどう競争を促進して、消費者の利便を高め世論を味方につけるかの戦術で失敗したとの見方もできそうだ。
('98/5/13)
[Reported by yuno@impress.co.jp / Hiroyuki Et-OH]