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【業界動向】

独自のJava開発路線をアピール

「HPはJavaの世界に競争を取り入れた」HPのJava戦略担当マネージャー語る


■URL
http://www.hpworld.gr.jp/global/ (HP WORLD'98)
http://www.hp.com/pressrel/may98/13may98c.htm

 5月14日、米Hewlett-Packard社(HP)のJava戦略担当マネージャーSala Jacobsen氏が来日し、「HPのJava戦略について」と題した記者セミナーを開催した。Jacobsen氏は、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催されている、日本ヒューレット・パッカード株式会社関連製品/サービスの展示会「HP WORLD'98」に合わせて来日、HPのJava戦略を日本の報道陣に向け正式に発表する形となった。

 HPは、'98年3月にPDAなどに組み込むことを目的とする独自開発のJavaVM「HP Embeded Virtual Machine」とクラスライブラリを発表している(本誌'98年3月24日号参照)。しかし、このHPが発表したJavaVMは米Sun Microsystems社の組み込み用のJavaの仕様「Embeded Java」との互換性が保証されておらず、Sunでは「Write Once, Run Anywhere」というJavaの基本理念と相反するものであるとして、HPの路線について反対している。

 Jacobsen氏は、HPの提供するJava環境が、主にビジネス分野で有効であることをアピールし、「HPはJavaの世界に競争を取り入れた」として独自のJava環境開発路線を進めることを改めて明らかにした。HPは、現在、米Intel社と共同でIA-64アーキテクチャーCPU用JavaVMの開発を進めている。また、独自にネイティブコンパイラーや「Optimized Dynamic Java compiler」と呼ばれるコンパイラーを開発しており、'98年後半か'99年初頭にはリリースする予定とのこと。ネイティブコンパイラー、Optimized Dynamic Java compiler共に、JavaコードがVMに届く前に処理する方式を取っており、従来の「Just-In-Time compiler(JIT)」と比較した場合、ネイティブコンパイラーが約5倍、Optimized Dynamic Java compilerで約6~7倍の実行速度を実現できるという。

 Jacobsen氏は、「独自のJava開発路線を進めることは、市場にとっても良いこと」としており、「(今後のJavaのありかたについては)業界においてオープンにディスカッションしていきたい」と語った。「HP Embeded Virtual Machine」のライセンシー第1号は、Sunが訴訟中の米Microsoft社に決まっている。また、13日、Integrated Systems社などベンダー5社へのライセンスを発表した。今後、Javaの標準仕様を守りたいSunの動向が注目されそうだ。

('98/5/14)

[Reported by okiyama@impress.co.jp / Hiroyuki Et-OH]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp