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【電子商取引】

非関税を1999年まで継続
WTO閣僚会議の電子商取引に関する特別宣言

 ジュネーブで開かれている世界貿易機関(WTO)第2回閣僚会議で焦点の1つとなっている電子商取引に関する特別宣言案が19日、明らかになった。電子商取引の非関税措置を1999年まで当面継続することが柱となっており、閣僚会議最終日の20日に採択される。

 宣言案は「加盟国が電子送信に関税を賦課しない現在の慣行を継続する」と明記。その上で「(WTO)一般理事会が第3回閣僚会議に報告する際、宣言を見直す」とし、1999年後半に米国で開催が予定されている次回閣僚会議でその後の措置についてあらためて協議することにした。

 日米は現状の非関税措置を今後も継続するよう主張していたが、発展途上国の間ではインターネット上でコンピュータソフトや映像ソフトなどを売買する電子商取引がほとんどなく、期間を限定しない非関税措置の継続に異論が出たため日米が譲歩した。

 宣言案によると、今年9月から開始される予定の次期貿易自由化交渉の準備会合で、1年程度かけてプライバシー問題やわいせつソフトの規制など電子商取引の問題点を整理。一般理事会はこの結果を第3回閣僚会議に報告する。

 現在のところ電子商取引に関税をかけるソフト技術は開発されておらず、日本政府は「事実上、電子商取引の非関税化が承認された」(通産省幹部)と受け止めている。しかし、米国文化の大量流入に警戒感を抱いているフランスなど欧州連合(EU)は、将来的に何らかの規制をかけることも検討している。


 電子商取引に関する世界貿易機関(WTO)閣僚会議の特別宣言案要旨は次の通り。


 世界貿易機関(WTO)の閣僚会議による電子商取引への非関税措置の継続合意は、各国の課税を法的に禁じる拘束力はないものの、閣僚レベルでまとめた宣言として政治的な意義は大きく、将来も電子商取引に関税を課さない流れが事実上決まったと言える。

 電子商取引でやりとりされる音楽や映像、コンピュータのソフトウェアといった分野で先頭を走る米国にとっては、非関税で流通にも規制がないことが望ましい。このため、クリントン大統領自らが18日の演説で各国の同意を訴えるなど、特別宣言の合意作業をリードした。

 しかし、同取引の範囲を問題にする欧州や、将来の課税権が制限されかねないことを不安視する途上国の抵抗は強く、延長される非関税の期限は取りあえず1年強にとどまった。

 日本は産業振興の観点から非関税続行で米国の立場に近く、今回はアジアの途上国を対象に説得役に回った。

('98/5/20)

[Reported by yuno@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp