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【社会】

インターネットが武器、学生に機動力と統率力

 「インターネットによると、国軍内部ではきのう、学生デモ鎮圧が話し合われた」――。ハビビ大統領が新内閣を発表した22日、インドネシア第2の都市スラバヤでは、学生らの間でインターネット情報が飛び交った。

 電話や無線の盗聴が日常茶飯事のこの国でも、インターネットには治安当局の検閲が追い付かない。最新機器による情報が、資金も武力も持たない学生に機動力と統率力を与え、運動の「最大の武器」となった。大学職員によると、学生たちは大学のコンピューターを使って国内だけではなく、世界中の人々と意見を交換し合っている。

 国立インドネシア大の学生運動を支援する教授の1人は「現在の学生運動の武器はインターネットと携帯電話、FAXだ」と話し、連日、数万人を動員する活動を可能にしたと指摘した。

 学生らによれば、学生組織の情報ネットワークが充実するに従い「非暴力による民主化」という本来の運動方針が浸透。部隊との衝突やデモに失業者らが入り込み暴動などに発展する事態が激減したという。

 国会占拠でも、延べ10万人を超える学生らが集まりながら、リーダーの指示が行き渡り、ほとんどけが人は出なかった。

 インドネシア大のある教授は「情報ネットワークが今後、学生の枠を超え『信頼のネットワーク』になればインドネシアの民主化運動の未来は明るい」と胸を張った。

('98/5/25)

[Reported by yuno@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp