自見庄三郎郵政相は26日、1998年版「通信に関する現状報告」(通信白書)を閣議に報告、了承された。日本の情報通信産業の実質国内生産額は'96年に103兆3,000億円と初めて100兆円を突破、全産業に占めるシェアは11.4%に達した。しかし日米のアンケートで、日本は10代や女性全般が情報機器を扱う能力などで米国に大幅に劣るなど、情報化に対する対応の遅れが目立っていることが明らかになった。
白書によると、通信・放送業界や情報関連機器メーカー、ゲーム業界など情報通信産業全体の実質国内生産額の'93年~'96年の平均成長率は6.42%と、全産業平均の1.68%を大きく上回った。設備投資額も'96年度は11兆1,000億円と全産業の14.5%を占め、電力(9.6%)を上回った。
ただ、日米の情報通信産業を'96年の名目国内生産額で比較すると、米国は日本の約1.4倍の128兆円で、'93年~'96年の年平均成長率も日本が3.73%なのに対し、米国は7.47%と大幅に上回っている。
一方、日米で計1,200人を対象にしたアンケートの結果、パソコンなどの情報通信機器の操作、インターネットを利用した情報収集などの能力で、日米格差が浮き彫りになった。
情報に関する能力全体を15点満点で評価したところ米国が8.97点なのに対し、日本は8.29点。満点を100ポイントとして格差を計算すると、10代の場合、パソコンなどを扱う能力で20.3ポイント、インターネットで30.7ポイントそれぞれ日本が劣っている。女性もパソコンで21.3ポイント米国が上回るなど大きな格差があることが分かった。
これらの結果から白書は、学校教育においてパソコンの操作能力やインターネット利用の機会を広げると同時に、女性や高齢者に関しても身近なコミュニティー内で情報通信機器に触れる機会を提供することが不可欠としている。
('98/5/26)
[Reported by yuno@impress.co.jp]