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http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/new/980622j602.html
郵政省は22日、市内電話などのユニバーサルサービス(全国均一サービス)を維持するため、電気通信事業者から負担金を集めて基金を創設する方針を明らかにした。同省の「マルチメディア時代に向けた料金・サービス政策に関する研究会」が、「ユニバーサルサービスの新たな確保の在り方」と題した報告書の中で提言した。
ユニバーサルサービスとは、生活に不可欠なサービスを、誰もが、国内どこでも適切な料金で公平に利用できるよう提供するというもの。通信分野では加入者電話、公衆電話、緊急通報サービスがこれに該当するとしている。しかし、市内電話は人口が少ない地域ほど回線や交換局の維持コストがかかるため、ユニバーサルサービスとして維持するには、そのコストを補うシステムが必要。NTTでは、都市部の黒字で地方の赤字を補てんしているのが現状だ。
報告書は、今後、都市部における価格競争や移動体サービスの普及などにともない「NTTは高コスト地域への補てん原資を失い、ユニバーサルサービスの維持が困難になるおそれがある」とし、現在の仕組みの限界を指摘。ユニバーサルサービスにかかるコストを、再編後のNTT長距離会社や新電電などが負担する基金方式を導入するのが妥当だとしている。今後は、NTTがユニバーサルサービスにかかる具体的なコストを算定、郵政省が通信事業者の負担範囲や額を検討し、'99年夏以降、基金の制度化を具体化していく。
電話サービスにおけるユニバーサルサービス維持のための基金制度は、すでに米国で導入されているが、新たに負担金を課せられる新電電などからはすでに反発の声があがっており、今後議論を呼びそうだ。郵政省では、この報告書に対する意見を電子メールなどにより広く募集するとしている。
なお、ISDNや移動体通信、選択料金サービス、付加機能サービスについては、現時点ではユニバーサルサービスに該当しないが、将来、普及率があがればこれに該当し得るとし、インターネットなどの高度サービスについては、ユニバーサルサービスに含むかどうかという議論とは別に、教育・医療分野への普及について早急に検討していく必要があるとしている。
('98/6/23)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]