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【イベントレポート】

コンファレンス「Web Businessの旗手たち」2日目レポート

■URL
http://cnet.sphere.ne.jp/Info/seminar.html
http://cnet.sphere.ne.jp/Newsmakers/index.html (Newsmakers in Japan)

 7月10日、インターネットビジネスに関するコンファレンス「WEB BUSINESS CONFERENCE~Web Businessの旗手たち」2日目が開催された。コンファレンスは、1日目同様、CNET Briefsで連載中のインタビュー記事「Newsmakers in Japan」に登場した、インターネットビジネスでのキーパーソンともいえる面々を招き、3部構成で行なわれた。


Session1 「オンラインショッピングの成功例とその秘訣」

 このセッションでは、日本ゲートウェイ2000株式会社の松井隆氏(写真右)、株式会社フリーウェイの川口歩氏(写真中央)、株式会社紀伊国屋書店の長谷川洋一氏(写真左)の3名。それぞれオンライン販売で業績を上げている企業からの参加だ。特にフリーウェイは、パソコンショップ「TWO TOP」で知られる会社で、インターネット上での売り上げ実績は、'98年3月に1カ月間で5億5,000万円を記録したという。

 セッションでは、各社のオンライン販売に関する取り組みが発表された。購買層については、日本ゲートウェイが「ある程度パソコンにくわしい人が中心」、TWO TOPが「当初ハイエンドパソコンのユーザー中心であったが、最近は初級、中級のユーザーが増えた」、紀伊国屋書店が「客層が一般的になってきており、偏った傾向はない」としている。興味深いのは、TWO TOPの例で、実際の店舗から100M程しか離れていない会社から注文があったこと、沖縄から100円のネジの注文(送料は2~3千円)があったことなどをあげ、「オンライン販売の必要性を感じた」と語った。

 3社ともインターネットによる販売を「商売として成り立っている」としており、今後はダイレクトマーケティングの手法を取り入れるといった展開を考えているとのこと。


Session2 「サーチエンジンから予測されるオンラインの展望」

 セッション2回目は、「サーチエンジンから予測されるオンラインの展望」と題して、エキサイト株式会社の伊藤裕太氏(写真右)、株式会社エヌ・ティ・ティ・アド(NTTアド)の板東信博氏(写真中央)が招かれた。 NTTアドは、検索サイト「goo」を運営する会社だ。

 ここでは、主に広告により運営されている検索サイトの運営について語られた。板東氏は、「バナー広告だけでコストを賄うのは難しい」として、現在新たな運営モデルを考察中とのこと。また、運営上の苦労として、gooでは「なぜ、自分のサイトを載せたのか?」との日本人ユーザーの問い合わせがサービス開始当初から現在でもあることをあげた。これは、日本とアメリカとのインターネットに関する文化の違いを示すものあり、検索エンジンを提供する米Inktomi側では、「見られて困るものがインターネット上に載っている訳がない」と、日本国内での問い合わせが理解できない状態であるとのこと。また、エキサイトでは、「ウチの会社を非難するページが検索されたので、削除してほしい」とのクレームを内容証明付きの郵便でもらったことがあるという。これについて、伊藤氏は「インターネット上に公開されているものは、検索できて当然である」というスタンスを取っている。

 なお、会場では伊藤氏の口から、エキサイト日本語版での新サービスについての発言が出た。「PAL(Personal Access List)」というサービスを7月下旬に開始する予定とのこと。PALとは、インスタントメッセージや1対1のパーソナルチャットができるというもので、詳細は明らかにされなかったが「ICQ」と似た機能を持っているという。英語版はすでにサービスが開始されている。


Session3 「データベースマーケティングによる効果測定」

 このセッションでは、株式会社リクルートの大庭広巳氏(写真左)、株式会社キノトロープの生田昌弘氏(写真右)が登場した。大庭氏はリクルートのサイト「MixJuice」の編集長を務める人物であり、生田氏は、BMWジャパン、Roverジャパンなどのサイトを構築したキノトロープの代表者である。

 ここでは、特に生田氏の発言が興味深かったので紹介したい。インターネットでできること、やって効果が上がるものを「マーケティング、CI、サポート」の3つと言い切った。氏は「2ヶ月で確実に収益があがるサイトを造る」としており、それには、サイトを見たユーザーからのレスポンスがあった場合、リアルタイムで反応できるといった、インターネットを使うということに理解のある企業が顧客である必要があるとしている。また、ログの解析については、「ページを見たユーザーがどんなアクションを起こしたか」といったことまで分析して初めて役に立つもので「アクセス数、ヒット数の多さは関係ない」としている。ほかには、「(顧客とならない人には)なるべくアンケートを書かせないようにする。」「そのページを見にきているということは、すでにもう客である。逆に客にならない人は見なくていい」といった発言があった。

 また、リクルートの大庭氏は、今後の展開について「バナー広告に大きな展開があるとは思えない」と語り「様々な形態の広告モデルを考えなければならない。ネット上で完結していてはいけない。(インターネット自体)バケモノのようなメディア。どう使うか考えもの」としている。

('98/7/10)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]

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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp