ソニー株式会社とTele-Communications社(TCI)の子会社National Digital Television Center(NDTC)社は27日、TCIの次世代デジタルセットトップボックス(デジタルSTB)に、ソニーの「ホームネットワーク・モジュール」を搭載することで合意したと発表した。
ソニーは、日本の衛星デジタル放送スカイパーフェクTV向けにも同様のソフトを組み込んだ受信端末を出荷する計画だが、TCIの受信端末に同じソフトが採用されたことにより、デジタル家電を結んだネットワークでソニーのシステムが世界標準になる可能性が大きくなった。
米通信最大手のAT&Tは6月、地域通信に進出するためTCIを480億ドル(約6兆8,000億円)で買収すると発表した。AT&TがCATV網を利用した家庭向け次世代通信網構築を目指す際、デジタル放送受信端末が、通信機能も備え、家庭向け通信・放送のかなめとなる可能性は大きく、ソニー製ソフトが家電と通信の分野で大きな役割を果たすことになりそうだ。
シリコンバレーなどで同ソフトの開発を進めているソニーは既に、ホームネットワークに必要で高速データ伝送が可能な国際規格「IEEE1394」に沿った端子付きのデジタル・ビデオカメラや、ノート型パソコンなどを販売している。
今後はテレビをはじめ、ビデオ、DVD、ミニディスクなどのデジタル家電を結び、1つのリモコンで統合的に操作できる家電ネットワークを簡単に構築できるようにする計画だ。
さらに、これに高速通信機能が加われば、高速インターネット利用や、テレビで流れた音楽を電子商取引で購入し、ミニディスクに取り込むことなどが可能になる。さらに、電話がかかってきたら自動的にテレビ音量を絞り、DVDを一時停止させたり、訪問者の顔を自動的にテレビ画面に表示させる、などさまざまな機能にも応用できる見通しだ。
TCIは先に、Microsoft社のWindows CEを受信端末のOSに採用する方針を決めており、ソニーのソフトはこのOS上で作動させる。
TCIは一方で、ソニーのデジタル家電制御用OS「Aperios(アペリオス)」をWindows CEの代替OSとして採用することも決めており、TCI向け受信端末の一部にAperiosが搭載される可能性も出てきた。
('98/7/28)
[Reported by yuno@impress.co.jp / 金丸雄一]