【特集】

携帯/PHS各社の文字メッセージサービスを知ろう

  携帯電話やPHSには、本来の音声の通話以外にもさまざまな付加機能がある。その中で、最近サービス拡大がめざましいのが、文字メッセージをやりとりできるサービスだ。DDI東京ポケット電話によれば、メッセージ通信が占める割合は、総発信数の40%弱に及ぶという。
 各社のサービスの中には、インターネット経由でメッセージを送れるサービスもある。ただ、サービスは多種多様で、どの社のサービスにどのような特長があるのかがわかりにくくなっている。今回は、携帯電話/PHS各社の文字メッセージサービスを紹介する。

●文字メッセージサービスとはどんなもの?

 各社で行なわれている文字メッセージサービスは、携帯/PHS端末の液晶表示欄を使ってメッセージをやりとりするもので、ポケベルと同じようなイメージだ。定型文や自由文、特有の記号や絵なども送受信できる。端末からの文字入力は、端末の電話帳に名前を入力するときと同様に、プッシュボタンを押して入力していく。

サービスによっては、Web上のフォームや電子メール、専用ソフトを利用して携帯/PHSの利用者にメッセージを送ったり、携帯/PHS端末からインターネットへメール送信したりできる。

 パソコン同士での電子メールのやりとりとは異なり、一度に送れる字数の上限や、一部の機種ではカナや英数字しか使えないなどの制限もある。しかし、何より手軽なため、今後の技術革新の動向によっては、現在のノートPCやPDAの地位を揺るがすものとなる可能性も持ち得るだろう。すでに、携帯電話やPHSとPDAを合体させたタイプの端末も各社から出てきている。新規の契約や、乗り換えの際の参考になればと思う。
 なお、サービスによっては別途契約が必要なものや、対応端末を購入する必要がある。

●PHSの文字メッセージサービス

 PHSでは、サービスによっては、どのキャリアでも申し込みをすることなく利用できる。NTTパーソナルのキャラメールは有料(月100円)だが、インターネット経由での受信が可能だ。なお、各社のサービスによっては、文字だけでなく、絵文字やメロディーの送受信もできるなど、携帯電話各社のサービスに比べ、遊び心にあふれている。

 なお、先日PHS3社は、3社のメッセージサービスを共通化する事で合意した。DDIポケットが「Pメール」の仕様を公開し、その仕様にアステルグループおよびNTTパーソナルグループが対応する。アステルは「Aメールプラス」という新名称でサービスを展開、NTTパーソナルは「きゃらトーク」が対応している(利用するには、一部バージョンアップが必要な端末もある)。本誌8月5日号参照のこと。

■アステル「モジトーク」「Aメール」「Aメールプラス」
http://www.astel.co.jp/tokyo/service/amail.html(Aメール)
http://www.astel.co.jp/tokyo/service/moji.html(モジトーク)

 他社の携帯/PHS端末からのメッセージを受信でき、最大文字数半角39文字まで対応の「モジトーク」と、自社機同士で最大120字まで可能な「Aメール」、3社のメッセージサービスを共通化サービスが受けられる「Aメールプラス」がある。なお、Aメールプラス対応機種は、現在のところAP-21のみ。アステル東京では10月発売予定だが、アステル関西などではすでに発売されている。また、AP-21には、イラストとメッセージが送れる「アニメール」機能があるほか、AP-21同士であれば、漢字の文字送受信にも対応している。
 「モジトーク」は、相手が受信不能時に、最大72時間までメッセージを預かるサービスがある点と、プッシュホン対応の一般電話からメッセージセンター経由でメッセージが送れる点は便利。ほかに、自作メロディーを一緒に送信できる「Mメール」もある。
 なお、アステル関西では、電子メールアドレスを付与するサービス「めちゃE-MAIL」を行なっており、それを利用すると、電子メールの着信通知をモジトークで受けられる。月額料金300円、通話料金13円/分。


■DDIポケット 「Pメール」「PメールDX」
http://www.j-plaza.or.jp/ddi-pocket/service/index.html(Pメール)
http://www.j-plaza.or.jp/ddi-pocket/news/h100317.html(PメールDX)

 DDIポケットが行なっているメッセージサービスには2種類ある。現在主流である「Pメール」は、文字数が最大字数20字までという制限と、漢字が扱えないのが難点。しかし、基本料が不要なのは嬉しいところだ。アステルと同様、プッシュホン対応の一般電話からメッセージセンター経由でメッセージが送れる点も便利だ。電源を切っているときでも12時間以内は自動的にメッセージを再送信してくれる。

  また、「Pメール」を機能アップした「PメールDX」も開始された。漢字対応で全角で約1,000文字までのメッセージや手書きメモ、メロディの送受信と、チャットができる。現在のところ対応している端末は、ミッキーマウス型デザインの「きゃらぴっち」のみだが、他社からも今後対応端末が発売されるとのこと。また、秋頃を予定しているというインターネットメールへの対応も含めて、今後の同社の動向には注目したい。

■NTTパーソナル 「きゃらトーク」「きゃらメール」「パルディオEメール」「パルディオIメール」
http://www.nttphs.co.jp/chuo/service/nw/cara.htm(きゃらトーク)
http://www.nttphs.co.jp/chuo/service/nw/kyara.htm(きゃらメール)
http://www.nttphs.co.jp/chuo/service/nw/p_email.htm(パルディオEメール)
http://www.nttphs.co.jp/chuo/service/nw/p_imail.htm(パルディオIメール)

 PHSで早くから漢字メッセージに対応していたNTTパーソナル。インターネットを使ったサービスも含め、メッセージサービスは充実している。きゃらトークは、パルディオ端末どうしで直接送受信できるサービス。特に申し込みなどは必要ない。アステル、DDIポケット電話とのメッセージ共通化に対応(端末による)。きゃらメールは、基本料100円が必要。きゃらメールに加入していれば、インターネット経由でメッセージも受け取れる。電子メールからは、「電話番号@xxx(契約グループによって違う).nttpnet.ne.jp」宛に送る。70~210文字(端末による)。漢字等を含んだ場合は最大105文字。なお、受信には、対応機種が必要。一部の対応機種ではアステルの「Mメール」と同様に「きゃらメロディ」と呼ばれる、着信メロディ作曲機能で作ったメロディーをメッセージとともに送信できる機能もある。
また、プロバイダー契約なしにインターネットメールの送受信ができる「パルディオEメール」があり、これを使えば、端末からインターネットメールの送受信ができるようになる。ただし、対応端末が必要。対応端末同士で手書き文字やイラストを送れ、ファックスも送れる「パルディオIメール」サービスなどもある。


●携帯電話の文字メッセージサービス

 現在のところ、携帯電話各社の中で、インターネット経由のメッセージを受信できるのは、J-Phoneとデジタルツーカー北海道・北陸・九州の各社だけだ。余計な端末を持たず、電子メールを受け取りたい人には最適だろう。

 なお、PHSと違い、各サービス間とのメッセージのやりとりは基本的にはできない。各社に問い合わせてみたところでは、メッセージサービスの共通化は現在のところ未定のようだ。


■IDO (日本移動通信) 「プチメール」
http://www1.mediagalaxy.co.jp/ido/topics/puti.html

 IDOのメッセージサービスは、基本的にIDOの端末同士でしかメッセージのやり取りはできない。また、受信側が電源を切っていたり、圏外にいてメッセージを受信できない場合にそのメッセージが保管されないので、大きな制約がある。メッセージは漢字対応(端末による)で、全角文字で64文字まで送信できる。IDOの端末を持つ人同士ならば、十分実用的だろう。

■デジタルホングループ「スカイウォーカー」
http://www.tdp.co.jp/p_and_s/options/sw/start.htm

 J-PHONE(東京デジタルホン、東海デジタルホン、関西デジタルホン)は文字メッセージをセールスポイントにしているだけあり、充実している。特別な契約なしに、スカイウォーカー対応端末どうしであればメッセージの送受信が可能。これは、「スカイメール」と呼ばれる。ただし、インターネット経由のメッセージの受信は、別途「E-mailサービス」の契約が必要で、月800円の利用料がかかる(関西デジタルホンの場合は利用料なし)。電子メールからは、「電話番号@email.sky.tdp.ne.jp」宛に送る。
 なお、メッセージは漢字対応で全角では64文字まで送ることができ、相手が電源を切っている場合でもメッセージは72時間まで保存される。また、プッシュホン対応の一般電話や携帯/PHS端末からメッセージセンターを通じて、あるいは同社のWebサイトから同社の端末へのメッセージの送信も可能で、その面でも他の携帯2社に差別化をはかっている。

 ただし、スカイウォーカーは、J-PHONEの通話エリア内(太平洋岸の都市部が中心)での送受信しかできない。E-mailを送信する場合には、ローミングで提携しているツーカーグループのエリア内からも送信はできるが、スカイウォーカーはツーカーグループのエリアでは現在のところ対応していない。

■デジタルツーカー「スカイワープ」
http://www.iacnet.or.jp/digitalTU-KA/menu/top6.html(デジタルツーカー北海道)
http://www.dtq.co.jp/dtq/area/(デジタルツーカー各社一覧)

 デジタルツーカーでは、「スカイワープ」を行なっている。これは、スカイワープサービスを行なっているデジタルツーカーグループ各社のサービスエリア内で利用可能。デジタルツーカー北海道などで対応しているが、まだ開始していないところもある。スカイワープ対応端末に一般電話等からメッセージを送る場合や、インターネットからE-mailを送る場合は全国どこからでもメッセージを送ることができる。また、料金や文字数の制限は、各社によって違う場合があるので、各社問い合わせが必要だ。

■DDIセルラーグループ「セルラー文字サービス」
http://www.ddi.co.jp/cellular/service/message.html#moji(セルラー文字サービス)
http://www.ddi.co.jp/cellular/area.html(DDIセルラーグループ一覧)

 DDIセルラーグループでは、オプション機能として「セルラー文字サービス」がある。留守番電話サービスである「セルラーメッセージサービス」の契約が必要。月300円の基本料金がかかる。また、電子メールアドレスが取得できる「EVメール」サービスもあり、これを利用すると、電子メールが届いた場合、「セルラー文字サービス」で到着を知らせてくれる。また、センターへアクセスし、音声で内容を聞ける機能などもある。

■NTT DoCoMo (NTT移動通信網) 「ショートメール」
http://www.nttdocomo.co.jp/products/service/keitai/guide/service/s_mail.html

 エリアの広さや、つながりやすいことで定評のあるDoCoMo。しかし、メッセージサービスに関する限りは閉鎖的。IDOと同様、基本的には自社の端末を持っている相手とのやり取りだけに限定され、メッセージは漢字対応(端末による)ではあるものの、文字数の上限が全角で25文字と制限されている。さらに月々の使用料が100円かかる点も、携帯電話他社と比較して少々魅力に欠ける。ただし、24時間まではメッセージが保管されるので、携帯の電源を切った状態の時や、圏外にいる時でも、後からメッセージが確認できるのは便利だ。

 インターネットからの送信には対応していないが、専用ソフトを使ってパソコンからメッセージを送信できる。
 ほかに、携帯電話とダイレクトに接続できるケーブル内蔵の端末「ポケットボード」も販売されている。ドコモの携帯電話用メール端末ともいえるもので、1台でショートメールの送信、10円メールの送受信(契約が必要)、DoCoMoのポケベルへのメッセージの送信ができる。ただし、利用できるのはドコモの携帯電話のみ。10円メールを利用すれば、J-PHONEやNTTパーソナルなどの利用者にもメッセージが送れる。

●各社のサービス一覧


【PHS】 1998年8月1日現在

サービス名 

基本料

受信料

送信料

送信字数

保存時間

漢字

E-mail

一般送信

利用手続

■アステル
モジトーク *1

100円/月

5円/件

10円/件*4

半角39

72時間

×

×

必要

Aメール

無料

無料

通話料

半角120

保存不可

○*5

×

×

不要

Aメールプラス

無料

無料

通話料

半角20

保存不可

×

×

×

不要

■DDIポケット
Pメール

無料

無料

通話料

半角20

12時間

×

×

不要

PメールDX

無料

無料

通話料

全角約1,000

12時間

×

不要

■NTT-P
きゃらメール*1

100円/月

5円/件

10円/件

半角210

2日後の24時

△*2

必要

きゃらトーク

無料

無料

10円/件

半角20

保存不可

×

×

不要



【携帯】
サービス名

基本料

受信料

送信料

送信字数

保存時間

漢字

E-mail

一般送信

利用手続

■IDO
プチメール

無料

無料

5円/件

半角128

保存不可

×

×

不要

■J-PHONE
Sky Walker

無料*3

無料

5円/件*3

半角128

72時間

不要*3

■デジタルツーカー
Sky Warp*6

無料*7

無料

5円/件*7

半角128*7

72時間

不要*7

■DDIセルラー
セルラー文字サービス

300円/月

通話料

通話料

半角20

48時間

×

×

×

必要*8

■NTT DoCoMo
ショートメール

100円

無料

通話料

半角50

24時間

×

必要




保存期間:圏外にいた場合など、センターで保管してくれる
漢字:漢字メッセージに対応
E-mail:インターネット経由の電子メールの送受信が可能
一般送信:プッシュホンや、Webサイトからのメッセージ送信が可能

注)

*1 メッセージサービスの加入工事料が必要だが、新規加入と同時に申し込めば工事料は無料となる。
*2 受信は可能。パルディオ「Eメール」機能を使えば、送信も可能。ただし、対応端末が必要
*3 E-mailの受信に関しては、手続きと基本料800円/月が必要。ただし、J-HONE関西は、基本料も無料。10円/件の送信料となる( http://www.kdp.co.jp/o/ooo.html#ryokin )。
*4 30秒以内の場合。30秒以上は、通話料が加算される。
*5 現在のところ、AP-21のみ漢字対応。
*6 サービス対応地域、開始時期については各地域ごとに異なるので契約のグループ先会社で詳細を確認されたい( http://www.dtq.co.jp/dtq/link/ )。
*7 E-mailの受信に関しては、各社によって手続きと基本料500円/月が必要な場合もある。また、デジタルツーカー北海道の場合、半角384文字まで対応している。
*8 セルラーメッセージサービスを契約の上、セルラー文字サービスの申し込みが必要

●Webやパソコンからメッセージを送ろう

 会社によっては、メッセージ送信ソフトを提供したり、あるいはWebサイトからメッセージが送信できるようになっており、特定の会社の端末がなくともメッセージが送信できるようになっている。普段、パソコンでの入力に慣れている人にとって、やはり携帯/PHS端末からの入力はめんどうなもの。ぜひ利用したい。

・アステル MojiMessenger (Macintosh用)
http://www.astel.co.jp/tokyo/dnld/downl.html

・MojiMail97 for アステル (Windows 95、Windows NT4用)
http://www.astel.co.jp/tokyo/dnld/downl.html

・NTTパーソナル きゃらめーらー(Windows用)
http://www.nttphs.co.jp/chuo/link02.htm

きゃらめーる for E-Mail(Windows用)
http://www.forest.impress.co.jp/term.html#charamail

・IDO プチメールマネージャ
http://www1.mediagalaxy.co.jp/ido/icomi/faxlan.html

・J-PHONEのメッセージ送信サイト
http://www.sky.tdp.ne.jp/submitsms/submit.html (東京)
http://www.sky.cdp.ne.jp/submitsms/submit.html (東海)
http://www.sky.kdp.ne.jp/submitsms/submit.html (関西)

・Sky Warp送信ページ
http://www.sky.dtg.ne.jp/submitsms/submit.html

・NTT DoCoMoショートメール送信ソフト(Windows用)
http://www.nttdocomo-h.co.jp/company/mm/smail/smail.htm

●キャリア各社のホームページ

 対応端末などのさらに詳しい情報は、各社のページにカタログが出ている。各社とも力を入れており、最新情報も見られる。

・アステルグループ
http://www.astel.co.jp/

・DDI POCKETグループ
http://www.j-plaza.or.jp/ddi-pocket/

・NTTパーソナル
http://www.nttphs.co.jp/

・IDO (日本移動通信)

http://www1.mediagalaxy.co.jp/ido/

・J-PHONE (東京デジタルホン)
http://www.tdp.co.jp/

・NTT DoCoMo (NTT移動通信網)
http://www.nttdocomo.co.jp/

・DDIセルラーグループ
http://www.ddi.co.jp/cellular/area.html

・デジタルツーカー
http://www.dtq.co.jp/dtq/area/

('98/8/18)

[Reported by yuy@ibm.net /junko@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp