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http://events.internet.com/fall98/ (Fall Internet World 1998)
Internet World初日の午後、Microsoftに対してNCA(Network Computing Architecture)をぶつけているOracleのLarry Ellison会長が基調講演を行なった。同氏は講演で、現在サーバーコンピューティング業界はMicrosoft主導のクライアント/サーバー環境からインターネットを中心とした「インターネットコンピューティング環境」に大きく移行しており、Oracleは「インターネットに未来をかける」と語った。また、ステージに設置されたApple Computer製のiMacを使用して、同社の最新製品である「Oracle 8i」のデモを行なった。
同氏は「クライアント/サーバー環境は、ネットワーク範囲が狭い上に高速接続を要求し、インストールや管理に莫大な時間とコストがかかるなど複雑で非効率だ。しかし、ひとつのブラウザーがあればどこからでもアクセスできるインターネット技術を使用すれば、容易に広範囲のネットワークが構築でき、管理コストの削減にもつながり効率的だ」と語った。
また、多数のサーバーを必要とするクライアント/サーバー環境に関して、あるファーストフードのチェーン店が各店舗ごとにサーバーを設置したというWall Street Journal紙の記事を例にあげ、「これは馬鹿げている」と揶揄した。インターネット技術を使用すれば、数台のサーバーとブラウザーでどこからでもアクセスでき、データは一カ所に統合されるという主張だ。Ellison氏は、インターネット技術を統合した初のデータベース製品である「Oracle 8i」のデモを行ない、この考えを実演した。
Oracle 8iは、Webサーバーが統合された最初のデータベースであり、インターネットでのビジネス間のデータシェアリングなどを簡単に行なうための、Javaで書かれた最初のインターネットデータベースでもある。同氏は「どのJavaプログラムにも対応し、1万人のJavaユーザーをサポートしている」と語った。また、幅広いファイルタイプに対応するドラッグ&ドロップ機能もついており、さらにOracle 8iのデータをモバイル機器に移動して、移動したデータをオフライン処理することもできる。
しかし、同氏がデモを行なった際、途中でiMacがクラッシュするというハプニングも起こった。「PCを使うのは大嫌いだが」と言いながらも、結局はPCを使用してデモを行なったEllison氏は、インターネット技術を使用したビジネスモデルに移行すべきだと繰り返し主張した。また、インターネットが本当にビジネスになる場所は「B-to-B」(Business to Business:企業間のやりとり)であるとし、「2年半前に我々が本格的にネットワークコンピューティング、つまりインターネットコンピューティングのコンセプトを打ち出して以来、我々はビジネス向けのWebアプリケーションの開発に集中してきた。我々のデータベースは、すべてのWebサイトで使用されており、我々がインターネットの基盤を築いたといっても過言ではない」と語った。
('98/10/8)
[Reported by HIROKO NAGANO / iMMERS Inc.]