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【イベントレポート】

「西川貴教のオールナイトニッポン」インターネット中継レポート

深夜の渋谷、インターネット中継に1,300人のTMRファンが熱狂

■URL
http://www.impress.co.jp/JOLF/nishikawa/
http://www.fujisankei-g.co.jp/jolf/ (ニッポン放送)

 11月13日金曜日深夜、渋谷の映画館「渋谷パンテオン」に多くの若者が集まった。「西川貴教のオールナイトニッポン インターネットクローズドサーキット in 渋谷パンテオン」が開催されたのだ。

 これは、人気者T.M.Revolutionこと西川貴教(写真右)のラジオ番組「西川貴教のオールナイトニッポン(ニッポン放送:金曜深夜1:00~3:00)」の生放送の模様をパンテオンの400インチスクリーンで楽しもうというイベント。通常のテレビ中継とどこが違うのか?… この生中継は、インターネットによる生中継なのだ。

「インターネットクローズドサーキット」って何?

 「西川貴教のオールナイトニッポン」では月に1度、「RealVideo」を利用して東京お台場にあるニッポン放送のスタジオから動画付きの「生放送」をインターネットで提供している。今回は、パソコンを持たないファンにもインターネットの生放送を楽しんでもらおうというもので、会場には映画館「渋谷パンテオン」が選ばれた。インターネットによるストリーム映像を大画面に映し出し、同時に1,300人の観客に楽しもうというイベントだ。

 中継は、ニッポン放送スタジオで撮影された画像をRealVideo用の画像データにエンコードし、ニッポン放送と渋谷パンテオンの間を128kbpsのISDN回線を3本束ねて計384kbpsで接続して行なわれた。会場では、データを受けたパソコンをプロジェクターに接続し、400インチスクリーンに動画を映しだした。

 通常のインターネット中継では、アナログモデムやISDNを使用しているユーザーが大半を占めるため、20~45kbps相当のストリームを作成するが、300kbpsのストリームでは、画像サイズ縦横2倍の映像をスムーズに再生することが可能とのこと。なお、今回は、会場へ向けた放送のほかに、通常通りインターネットユーザー向けの放送も行なわれた。

会場は大騒ぎ
待ちわびるファン
西川くん登場「キャ~」
後方ではモクモクと作業

 会場では、本放送の開始にさきがけ24:40から中継が始まった。スタジオの様子を中継するだけのイベントに人が集まるのか、と言う人もいるかと思われるが、会場には約1,300人もの人が集まった。一番遠い所から来たのは、山口県からこのイベントのために訪れた男性。また、早い人は午後3時から会場の前で待っていたとのこと。観客の9割は女性だが、中には56歳の女性など幅広い年齢層のファンが集まった。

 放送開始時間が近づくにつれ会場が盛り上がってきた。スタートの「オールナイト、ニッポ~ン」のかけ声を1,300人の観客が一団となって練習している。そして、画面に西川くんの登場。会場は「キャー」という大きな歓声につつまれた。西川くんが何か喋れば爆笑、曲が流れれば振り付きで大騒ぎと、まるでコンサート会場のような状態になった。イメージとしては「フィルムコンサート」だが、決定的に違うのは会場とスタジオとのやりとりだ。スタジオからの呼びかけに会場が応える。また、それにスタジオで反応する。そんな「双方向的」な光景が繰り広げられた。

 会場で流された動画は、300kbpsのストリームだけあって極めてスムーズ。映画の画面を多少荒くしたような感じだ。なお、会場には「動画と音声がほぼ同期している」ストリームと「音声重視」の2種類のストリームが用意され、要所要所に合わせて使い分けられた。音声重視のストリームは、番組開始のかけ声などリアルタイムさが必要とされる箇所で、番組のトーク場面などは動画と音声が同期しているストリームでといった具合。このストリームのつなぎもスムーズに行われ、番組進行上の不具合はなかった。

 放送は、スタジオ、会場、そしてラジオ、インターネット経由のリスナーをつないで行なわれた。例えば、ラジオ/インターネットのリスナーに「会場の1,300人を眠らせない、飽きさせない方法」を募集し、FAXや電子メールで届いた答えを読み上げるという感じだ。また、番組ノベルティーグッズのコンテストでは、FAXなどで寄せられたグッズのデザイン案をスタジオからカメラを通して会場に紹介し観客に投票してもらった(投票用紙は中継終了後に回収)。ほかに番組内では、スウェーデンのリスナーから届いたメールを読み上げるなど、普段からインターネットと結びつきの強い同番組ならではの場面もあった。

 午前2時も過ぎるとさすがに会場も多少ダレた雰囲気が漂う。しかし、スタジオでは、パンテオンにいる観客を意識した呼びかけ/問いかけを一定の間隔でしており、その度にまた盛り上がるといった具合だ。

無事中継終了、ファンの感想は?
 途中、2度程ストリーミングが途切れる場面も見られたが、午前3時、大きなトラブルもなく放送は終了した。ファン達は画面を去る西川くんに手を振り、番組終了を惜しんでいる。放送終了後、会場を出たファンに今回のインターネット中継について感想を聞いてみた。
 上野さん(神奈川県)は「おもしろかった。インターネット中継ということはあまり意識しなかったです。実は、テレビはあまり見ないので西川くんの動く姿を見るのは初めてなんです」とのこと。普段からインターネットを使っているが、時間が遅いので(インターネットの)生放送は見ていないとのこと。  
 また、蓮さん(東京:右)、mamiさん(東京:左)、ゆりかさん(大阪:中央)の3人組は、「スッゴク楽しかった!また、こういうイベントがあったら絶対に来たい」と語った。また、普段インターネットでも見ているが「家では、画像がブツ切れになってよく見えなかった。今回は、画像もきれいだし、なによりも途切れないのがよかった」と語った。なお、ゆりかさんは今回のために大阪から来たとのことだ。

 終了後の会場を見渡すと、満足気な観客の表情が印象に残った。

イベントの意義
 今回は、かなり多数の観客を集め、イベントとして「成功」したと言っていい。もちろんその集客力は、T.M.Revolution:西川くんに負うものがかなり多く、「インターネット中継」を意識して集まった客は少ないだろう。しかし、実際には、約1,300人もの人が集まり、インターネットの中継を楽しんだのだ。

 なお、会場で配布されたアンケートの結果によると、画像のクオリティについては「テレビより多少悪い」という印象が多く、不満点については「音声と画像のズレ」が上げられた。しかし、おおよその観客は「満足」としているとのこと。ファン心理として「普段見られないスタジオの様子」が見られたのがなにより満足だったようだ。また、インターネットについては、約半数が普段からインターネットを使っていると回答した。ニッポン放送によると、使っていない人からの回答には「今後(インターネットを)やってみたい」との回答が非常に多かったという。同社では、「今回のイベントは大成功。'97年の11月から「RealAudio」によるインターネットでの音声放送を始め、その後「RealVideo」での動画放送、そして、今回のイベントへと進んできた。今後もやっていきたい」としている。

 今回のイベントの成功には、パソコンとISDN回線という低コストなライブ中継システムの実現や、インターネットによるライブ映像を利用したイベントの普及に新たな可能性が見えた。

('98/11/16)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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